調剤薬局へ転職する薬剤師が知っておくべき仕事の特徴やチェックポイント
薬剤師資格が必要な仕事はいくつかありますが2020年の時点では、薬剤師の半数以上が調剤薬局で働いています。
参考:令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省
調剤薬局の数は全国でも多く、新卒から調剤薬局で働き続ける薬剤師もいれば、病院薬剤師やMR(医療情報担当者)を経験した後に調剤薬局で働くという薬剤師も少なくありません。
筆者は新卒から調剤薬局の薬剤師として仕事をしてきましたが、転職の経験や派遣薬剤師として仕事をしてきた経験もあり、様々な調剤薬局で働いてきました。
同じような規模の調剤薬局でも企業や店舗ごとに様々な特色があるので、同じ薬局薬剤師として仕事をしているのに「同じ業種でも仕事のルールや雰囲気がこんなにも違うのか」と驚くことが多々ありました。
今回は筆者の経験や同じ薬剤師仲間の体験をもとに、調剤薬局への転職を意識したときに知っておいた方がいい注意点について紹介していきます。
「調剤薬局への転職を考えているけれど、どこに注目して転職先を考えたらいいのかわからない!」という方は参考にしてください。
調剤薬局の仕事の特徴
調剤薬局での仕事の特徴として最も大きいのは、患者さんが外から持ってきた処方箋をもとに調剤をするということです。
病院薬剤師はその病院の医師の処方の薬を調剤、監査、服薬指導などをしますが、調剤薬局は基本的に日本全国どこの病院の処方箋を預かるので、様々な診療科目や処方内容に触れる機会が圧倒的に多いです。
更に、接客の面が強く出るのも薬局薬剤師の仕事の特徴かと思います。
また、病院薬剤師と違って輸液や注射の薬(インスリンやホルモン製剤などを除く)についてはあまり触れる機会が残念ながらまだ多くありません。
在宅医療が推奨されてきている現在でも、必要な輸液を作成する無菌調剤設備がある調剤薬局はまだまだ少ないためです。
現在薬局薬剤師の仕事は大きな変化を迎えている時期ですので、今後の医療体制の変化に伴って、輸液や注射薬に関わることも増えてくるかもしれません。
調剤薬局で必要なスキル
調剤薬局での仕事をするにあたって求められるスキルは多々ありますが、筆者が特に強く感じている重要なスキルを3つあげてみました。
この3つが満遍なくできるようになれば、薬局薬剤師として問題なく仕事ができると判断しています。
仕事上で求められるスキルではありますが、最初からうまくいかなくても落ち込まなくて大丈夫です。
業務になれていければ次第に身につくことが多いので、何が必要とされているのかを参考にしてください。
コミュニケーション能力、接客能力
調剤薬局で仕事をするならば、コミュニケーション能力は最も重要なスキルと筆者は考えています。
薬局の雰囲気や接客態度が良ければ患者さんも気持ちよく薬局を利用してくれるので、再来局や売り上げ向上につながるからです。
また、安全かつスムーズに薬を用意するためには、一緒に仕事をする薬剤師や医療事務との円滑なコミュニケーションが必要不可欠です。
調剤過誤や患者さんとのトラブルの原因として、一緒に仕事をするスタッフ同士での確認不足によるケースは少なくないため、「報告、連絡、相談」が問題なくできる程度のコミュニケーションが非常に重要なのです。
例え、薬の計算や調剤が迅速かつ正確な1人の薬剤師がいたとしても、まともなコミュニケーションや連携がとれていなければ、ミスを生む側の人間になってしまいます。
調剤薬局で仕事をする際には、特にコミュニケーション能力や接客能力が重要になることを意識しましょう。
状況判断能力
調剤薬局は患者さんの来局状況やタイミングによって忙しさが一変し、時には1つの仕事だけに専念できずマルチタスク状態になってしまう状況があります。
本来ならば1つの仕事に専念できる環境なのが理想ではあるのですが、体制や状況によって忙しくなってしまうタイミングは避けられないことが多いです。
そんな忙しい状況でも、トラブルなく患者さんへ素早く薬をお渡しするためには、薬剤師の動きが重要になってくるのです。
処方内容の疑義紹介、薬の在庫確認、調剤や薬をお渡しする順番についての配慮、来局された患者様への対応・・・など、その一瞬で「今一番優先順位高い仕事はどれか?」を判断できる能力が調剤薬局では特に必要とされます。
この判断がしっかりできていれば、多少慌ただしくなっても円滑に業務を進めることができます。
筆者も多忙時の状況判断についてはなかなか苦戦した経験がありますが、業務が慣れていくにつれこういった能力も備わってくることが多いです。
初めからうまくいかなくても大丈夫です。
計算能力
患者さんへ間違いなく薬をお渡しするためには、正確かつ迅速な計算能力も重要です。
錠剤やカプセルの薬を調剤するにしても、用法や処方日数から計算した数を正確に用意しなければなりません。
調剤薬局のトラブルでよくあるのが「もらった薬の数が足りない!」という患者さんから問い合わせがあるケースです。
錠剤やカプセルには10錠シートや14錠シートといった包装の違いもある製品が多いため、薬の渡し間違えを防ぐためには、正確に調剤できる計算能力が普段から重要になってきます。
また、粉やシロップの薬を調剤する際にも計算能力は重要となります。
病院によっては、薬の成分量(○○mg)で処方が記載されていることもあり、薬局に在庫している薬で何g、何mlの量(製剤量)を計量しなければいけないのかを計算する必要があるからです。
更に小児の薬の場合は、患者体重に対して適切な薬の量かを判断しなければいけないため、こちらも計算が必要になります。
計算が苦手な薬剤師の方や小児の薬を多く扱う調剤薬局への転職予定の方は、成分量→製剤量の換算の練習をしておくと良いかもしれません。
この辺りは数をこなしていくと慣れていくことが多いです。
筆者も薬剤師なのに計算が大の苦手で、特に小児の薬の計算には苦戦してきましたが、数を多くこなしていくうちに慣れていくことができました。
しかし、未だに某製薬会社の漢方エキス錠の計数調剤が苦手です。
落ち着いて必要な錠数を計算できる環境が重要かと思います。
調剤薬局へ転職するメリットとデメリット
薬剤師の転職で調剤薬局への転職をするケースは多くありますが、筆者の経験や薬剤師仲間の話をもとに、メリットとデメリットをあげてみました。
筆者の周りには、勤務時間や労働条件で調剤薬局への転職を意識する薬剤師が多かったです。
メリット
調剤薬局へ転職するメリットとして大きいのは、結婚や出産などのライフイベントにも柔軟に対応できる働きやすさです。
年収面では病院よりも高めになっていることも大きな魅力の1つではありますが、福利厚生などの面でも充実している調剤薬局も多いです。
あらゆる病院やクリニックからの処方箋を預かるため、様々な処方科目や薬についても幅広い知識を深めることができます。
年収面が病院よりも比較的高めなことが多い
規模や役職にもよりますが、病院薬剤師の年収よりも調剤薬局薬剤師の年収の方が高いです。
病院薬剤師だった筆者の友人も、「年収面が仕事内容の割に合わない」と悩んで調剤薬局への転職をしていました。
出産や育児のライフイベントがあっても仕事を続けやすい
薬剤師は女性の割合が多い職種のため、出産や育児に理解のある職場が多いです。
中でも、ある程度規模の大きい調剤薬局は産休や育休の制度が充実している企業もあり、出産や育児などのライフイベントがあっても仕事を辞めずに続けやすいメリットがあります。
企業によっては「くるみんマーク」(「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証)を取得しているところもあります。
また、お子さんが小さい間はパート薬剤師や時短勤務で仕事ができる点も大きなメリットです。
在宅医療にも関わることができる
薬局によっては在宅医療を重点に置いている調剤薬局があり、在宅医療に関わることができます。
筆者も在宅に力をいれている薬局で仕事をしたことがありますが、施設の薬を調剤したり、調剤した薬を配薬カレンダーにセットしたりと外来とは違った仕事ができて新鮮でした。
様々な処方科目に触れることができる
調剤薬局で仕事をすると、様々な医療機関の処方を目にすることができます。
基本的に門前の病院の処方箋を扱うことが多いのですが、患者さんによっては他の医療機関の処方箋を持ってくることがあるため、幅広い処方科目の勉強をすることができます。
また処方科目だけでなく、様々なメーカーの薬について触れる機会が多くなるため、「同じ成分でもこのメーカーの薬の方が飲みやすい」「少し値段が高い」などの違いを勉強することもできます。
病院だと採用している薬が限られているため、この辺りの勉強ができることは薬局薬剤師ならではのメリットであると思います。
デメリット
調剤薬局への転職でデメリットとなる点としては、接客業寄りの仕事になることへのストレス、病院やクリニックの営業時間に勤務が左右されやすいことが大きいかと思います。
更に、複数店舗がある調剤薬局では薬剤師の異動や応援勤務がある場合が多く、環境の変化のストレスなども感じやすい点も無視できません。
また、最近では在宅医療の需要が高まっていることもあり、多くの薬局が在宅医療に注力しています。
その関係で患者さんのお宅や施設への訪問といった仕事が避けられない点もあり、在宅医療に対して積極的ではない薬剤師の方にとってはなかなか厳しい時代となりました。
在宅で運転必須なケースがある
在宅医療に力を入れている調剤薬局だと、配薬のために車の運転が必須となることがあります。
運転免許を持っているけれど、仕事で運転をしたくないという方は転職先を注意して選ぶ必要があります。
薬局によっては在宅医療専門の運転手がいるところもあるので、しっかりと転職先の事前調査をしましょう。
勤務時間が門前病院の営業時間に左右されることが多い
調剤薬局には営業時間が決まっているのですが、実際は門前の病院やクリニックの状況で左右されることが多いです。
門前の病院やクリニックが混雑していたり検査に時間がかかったりすることもあり、薬局の営業時間が過ぎていても最後の患者さんが来局されるまで薬局をあけていなければならないからです。
特に正社員で働いている薬局薬剤師はこのパターンで残業することも少なくありません。
また病院やクリニックの方針次第では、日曜や祝日も診察していることもあるために薬局の薬剤師もそれに合わせて仕事をしなければいけない場合もあります。
筆者は耳鼻咽喉科クリニックの門前薬局で仕事をした経験がありますが、花粉症のピークの時期はクリニックが非常に混雑していた関係で、3時間以上の残業をしたこともあります。
接客業なので、モンスター患者の対応に苦労することある
調剤薬局で働いていると、対応が非常に難しい患者さん(所謂モンスター患者)相手に苦労することがあります。
特に調剤薬局は薬を準備する関係上、待ち時間やお渡しする薬に関してのクレームを受けることがあり、薬局薬剤師であれば誰でも頭を悩ませたりする点かと思います。
勿論、適切なクレームには真摯に対応すべきではありますが、中には適切とは言い難いクレームやトラブルに遭遇することもあります。
医療は平等であり、適切なサービスを提供しなければいけないのは勿論ですが、中には理不尽な要求や度が過ぎた行為をする困った患者さんもいるということも事実です。
調剤薬局に転職するのであれば、こういったトラブルを悪化させないようにきちんと対応できる環境を選ぶのが大切かと思います。
筆者が過去に働いていた調剤薬局チェーンでは、患者さん対応のトラブルが起こった際にまず誰に相談すればよいか、何をすべきなのかが明確にマニュアル化されていました。
調剤薬局で初めて仕事をする方は、トラブル時のマニュアルがしっかりと決まっている企業に転職されるのが安心かと思います。
不足薬の対応や在庫管理に苦労する
病院は採用する薬が決まっており、院内処方でも欠品や不足といった事態にはあまり遭遇することはないかと思います。
しかし、調剤薬局だと「全国どこの処方箋もこちらでお預かりいたします!」という形態であるため、患者さんから預かった処方箋に記載されている薬が、薬局には在庫がないということもしばしばあります。
在庫の欠品や取り寄せや小分けの手配、入荷したお渡しまでの対応を責任もって対応しなければならないため、薬局薬剤師の仕事の中でも特に気力を使うかと思います。
薬によっては、ある日メーカーから出荷調整や自主回収、販売中止といったお知らせが届いて薬が届かなくなるという事態もよくあるので、在庫に関してはより繊細に注意を払わなければいけません。
応援勤務が必要になることがある
個人経営の1店舗のみの調剤薬局なら心配ないかと思いますが、複数店舗がある調剤薬局で仕事をする場合は、多店舗への応援勤務があることが多いです。
同じ社内であっても多店舗への応援勤務は慣れない業務であることが多く、一緒に働くスタッフもいつもと同じメンバーではないためストレスや負担がかかります。
違った処方科目や薬の勉強ができるというメリットもありますが、慣れない環境が特別苦手だという方は少なくないかと思います。
企業によってはラウンダー勤務専門の薬剤師がいるところもあるため、応援勤務をあまりしたくない方は転職の際にはしっかりと事前調査をしましょう。
調剤薬局に転職する際のチェックポイント
調剤薬局にも企業によって様々な特色があり、働く上で向き不向きがあります。
自分の性格とミスマッチな調剤薬局で仕事をするのは精神的にも体力的にも辛くなるため、薬局の特色をしっかりと把握する必要があります。
また、中には労働環境が劣悪なブラック薬局もあるため、転職の際には何かおかしなところはないかを事前にしっかりと調査する必要があります。
筆者も何度か調剤薬局への転職をしていますが、過去の転職経験からミスマッチやブラック薬局への転職を避けるために重要なポイントをいくつかあげてみました。
自分がどんなタイプの薬剤師なのかを理解し転職軸を選択すること
薬剤師にも様々なタイプがありますが、自分がどんなタイプの薬剤師かを把握しておくだけでも転職軸が明確になりやすくなります。
例えば筆者の場合は、患者さんの話を聞いてじっくり向き合うことが得意なタイプの薬剤師ですが、とにかく患者さんを捌いていく必要があるような忙しい調剤薬局では自分の能力をあまり生かすことができません。
逆に患者さんとの対話があまり得意でなく、調剤や監査の仕事をテキパキとこなすことができる薬剤師の方は処方箋枚数が多い調剤薬局で活躍しやすいかもしれません。
このように、自分がどのような薬剤師であるかを理解すれば、どんな調剤薬局との相性がいいかを考え、今後どう活躍していきたいかを明確にすることができます。
調剤薬局の面接でも、「自分はどんな薬剤師か」「今後どう活躍していきたいか」を問われることが多いですので、しっかりと自分の転職軸や意向を固めておきましょう。
面接に直属の上司となる人物が同席しているか
気になる求人があり、いざ面接に行くとなったら注意したいポイントの一つが、直属の上司(多くは管理薬剤師)が面接にも同席しているかどうかです。
薬剤師転職で致命的なのは、管理薬剤師との相性が悪かったり、管理薬剤師がコミュニケーションに問題がある人物だったりするパターンです。
直属の上司との相性が最悪だと、業務にも支障が出ますし精神的にも非常に不健康です。
最悪うつ状態にまで発展してしまうケースも少なくありません。
そのため、入社前の面接のタイミングは、直属の上司となる管理薬剤師との相性や人柄を探る最大の好機となります。
面接に同席していれば会話もできるため、印象や人柄、会話のテンポなどをある程度把握することができるので、転職失敗の確率を下げることに繋がります。
調剤薬局によっては、経営者や採用担当者のみとの面接になることもありますので注意しましょう。
その場合は別途、薬局見学の機会を設けてもらうことも考慮しましょう。
筆者も過去、調剤薬局の面接を受けた際に管理薬剤師が休みで不在というケースもありましたが、別途薬局見学の日程を設けてもらい、管理薬剤師の方とお話することができました。
高圧的に感じる面接だったか
面接時に注意したいポイントもう一つは、面接担当者の印象です。
面接時の印象によって、入社後の待遇を予想することもできるからです。
面接や見学の際には企業もいいところだけを見せがちになりますが、企業によっては「ちょっと高圧的だな」と感じさせる面接をするところもあります。
特に面接担当者の「1人の社員を教育するのに費用がかかるから」「すぐに辞められると困る」などの、社内の損や利益を考えているような発言には注意が必要です。
社内の利益を重視しているような話をする企業は、社員を大切にしていない可能性が高く、不幸な転職に繋がる可能性があるからです。
特に転職を経験されている薬剤師の方に面接時にこういった話をしてくる企業も少なからずありますが、逆に企業の性格を探る好機となります。
企業側も薬剤師の印象を重要視していますが、薬剤師の方も企業から受けた印象は重要視しましょう。
調剤室内にも注目すべきポイントが多い
調剤薬局の面接時には、見学も同時に行うことが多いです。
調剤室の見学で探ることができるポイントは数多く、ブラック薬局回避の為にも重要な判断材料となります。
面接が本社で調剤薬局の見学ができなかった、という場合は必ず別途見学の日程を設けてもらいましょう。
調剤室が散らかっていないか
調剤室内がごちゃごちゃと散らかっている薬局は、ミスを生みやすい薬局だと筆者は考えています。
不足薬があるのか調剤済みだかわからないカゴが色々な箇所に置かれていたり、異様に監査スペースが狭かったりする場合は十分に監査する環境が整っておらず、何らかのミスやトラブルが発生しやすい環境だからです。
逆にしっかりと整理整頓されている調剤室であれば、ミスは起こりにくい環境であるという目安にもなります。
薬剤師のボックスに分厚い紙の束が入っていないか
調剤薬局であれば、だいたい調剤室内に薬剤師ごとのボックスが設置されています。
比較的すぐに見つかるので、しっかりとチェックしましょう。
薬剤師のボックスに分厚い紙の束が入っているのを目撃した場合は要注意。
高確率で未記入の薬歴がたまっている可能性があります。
薬局見学のタイミングにもよりますが、日中に調剤室を見学して薬歴の束らしきものを確認したら、その薬剤師が前日までの薬歴の入力を終わらせていない可能性も考えられます。
薬歴がたまりすぎている薬局はブラックの可能性が高く、薬歴を書くために残業するのが当たり前になってしまっていることも少なくありません。
人手不足や他の業務(在宅の報告書など)に追われているために、薬歴を終わらせることができない環境であることも想定できるので、薬剤師のボックスに紙の束が放置されていないかはチェックしましょう。
休憩室や調剤室内に企業理念以外の貼り紙がないか
休憩室や調剤室内には様々な掲示物がありますが、企業によっては企業理念なども掲示している場合があります。
それとは別に変な掲示物がないかを見渡してみましょう。
特に、根性論に近いような謎のスローガンが掲げてあるものを発見したら注意。
経営者や上司の性格や職場形態に何らかの問題があるかもしれません。
筆者も過去に「指示待ち人間になるな!自ら動け!」といった内容の貼り紙があった薬局で仕事をしたことがありますが、常に何らかの調剤過誤やトラブルが頻発していてスタッフ間の報告・連絡・相談がまともに機能していない薬局でした。
また、「きちんと挨拶をしよう」などの貼り紙もよく見られますが注意が必要です。
過去にスタッフの挨拶ができていなくて、そういった掲示物が貼られた経緯があるかもしれません。
挨拶ができていない職場はスタッフ間のコミュニケーションにも問題があることが多いため、仕事の環境が劣悪である可能性があります。
スタッフがきちんと挨拶しているか
調剤薬局での見学の際には必ず数名のスタッフがいるかと思いますが、きちんと挨拶できているかなども人間関係のトラブルがないかを探る重要なポイントです。
ムスッとした態度であったり挨拶されなかったりした場合は、高確率でその職場の人間関係に問題があると考えてよいかと思います。
逆に挨拶された際の印象が良ければ、入社後も仕事をスムーズに教えてもらえると考えられます。
挨拶の有無も薬局全体のイメージに繋がりますので、この辺りもしっかりとチェックしておきましょう。
働いている人の服装にも注意
見学の際には働いている人の服装にも注目してみましょう。
調剤薬局によっては服装の規定がかなり厳しめなところもあれば、少し緩めなところもあるのです。
特に大手の調剤チェーンでは髪色の規定が「ロレアルの○○番まで」「下は黒いパンツスーツで」「男性はスーツで」などと厳しく決まっていますが、小規模の薬局では規則が緩めなところがあります。
あまり厳しい服装は嫌だという方は、服装の規定についても注目して転職活動をすると良いかと思います。
薬局の口コミも判断材料にする
信ぴょう性は高くはありませんが、調剤薬局の口コミもネットで調べておくと良いです。
Googleレビューでの口コミは、過去にその薬局を利用された方がどんな対応をされたかを知ることができます。
☆1のレビューが多くついている薬局は対応が劣悪である可能性があり、職場内の雰囲気も悪いことが考えられます。
更に過去にその薬局で嫌な思いをされた患者さんは、レビューにコメントを書いている場合がありますのでコメントにも注目しましょう。
「薬ができるのが遅い」とレビューがあれば、薬局が人手不足である可能性を探ることができます。
しかしながら、Googleレビューの中には施設の利用に関係なく嘘のレビューを書き込む人もいたり、薬局の対応に非がなくても悪意で書き込まれたりといったことも多いです。
医療機関はそういった悪意のある口コミのターゲットにされることがあるため、あくまでGoogleレビューの口コミは判断材料の1つとすることをおすすめします。
また、メンタル系の医療機関やその近くの調剤薬局は、対応に高度な繊細さを必要とすることもあり、対応の良し悪しに関係なく低評価レビューがつけられやすいです。
こういった点を理解して薬局の雰囲気や対応に探りを入れてみましょう。
Googleレビュー以外では、転職会議やOpenWorkなどの企業口コミサイトも確認しておくと良いです。
これらの企業口コミサイトには、その企業に勤めたことがある人や既に退職した方の口コミが記載されています。
福利厚生や待遇、やりがいなどの項目が見やすく、その企業で働いていてどんな点が良かったか悪かったかをサーチすることができるのです。
ただし、こういった企業の口コミはどうしても退職者の割合が多く、マイナスの口コミに意見が偏りがちになってしまうことも頭に入れておく必要があります。
薬局が何時まで明かりがついてるか確認する
調剤薬局は門前の病院やクリニックの混雑具合などで営業時間が左右されがちですが、余裕があればどのぐらい薬局の営業時間が伸びているのかを実際に確認することをおすすめします。
筆者も仕事帰りに面接を受けた薬局を見に行き、薬局の明かりが何時までついているのかを確認したことがあります。
薬剤師仲間の意見も聞いておくこと
転職で迷ったら薬剤師仲間に相談してみるのも良いかもしれません。
人に話すことで自分の転職軸を明確にしやすくなったり、自分の働きたい環境について優先順位がつきやすくなったります。
また、規模の大きめの調剤薬局チェーンだと過去に働いたことがある人も多いため情報が集まりやすいです。
調剤薬局への転職で失敗を避ける方法
ミスマッチやブラック薬局への転職を避けるために、薬剤師専門の転職エージェントを利用することも有効な対策となります。
薬剤師専門の転職エージェントは他の職業紹介のエージェントとは異なり、薬剤師の転職に特化しているので、処方箋枚数や調剤薬局の雰囲気などの詳細な情報が入手しやすいのです。
また、転職活動慣れしていない薬剤師の方でも転職活動が成功しやすいように、面接対策や履歴書などの書類の添削もしっかりと行ってくれます。
薬剤師転職の状況は年々厳しくなってきていることもあり、内定を得やすくするためにも薬剤師専門の転職エージェントを利用することをおすすめします。
薬剤師専門の転職エージェントは数多くありますが、少なくとも3つ以上を同時に併用することが失敗回避の秘訣となります。
3つ以上を併用するのは、
- 転職エージェントごとに紹介してくれる求人の種類や数が異なるため
- 併用することで転職エージェントに「紹介料の高い求人を紹介ばかり」を紹介される事態を避けるため
- 転職エージェントの担当との相性が悪かった場合への対策となるため
- それぞれの転職エージェントから企業の情報を得ることができるため
といった重要な理由があります。
ここでは調剤薬局に転職する方におすすめしたい薬剤師専門の転職エージェントを紹介します。
こちらは筆者が過去に利用した経験があり、仕事をしながら転職活動というハードなスケジュールになりがちな薬剤師の方にも利用しやすい転職エージェントです。
どれを利用したらいいかわからないという方は参考にしてください。
調剤薬局の転職を考えるならファルマスタッフが1番おすすめ
ファルマスタッフは大手の薬剤師専門の転職エージェントです。
母体が調剤薬局チェーンの日本調剤であることもあり、調剤薬局の求人に強みがあるのがおすすめポイントです。
数ある職業紹介事業者の中でも、厚生労働省認可の職業紹介優良事業者のマークを持っているので、安心した転職活動サポートを受けることができます。
規模が大きく全国に12ヵ所の拠点があり、都道府県を跨いだ転職も安心して行うことができます。
派遣事業も行っているので、派遣薬剤師として働きながら調剤薬局への転職をするということもできます。
主な相談方法は、電話やメールの他に面談もできます。
筆者が利用した際には、面談は担当の方がわざわざ近隣まで来てくださいました。
履歴書や書類添削や面接対策もしっかりと行い、可能な範囲で担当の方が面接に同行してくれます。
筆者が利用した際の面接同行では、自分が面接でうまく喋ることができなかったところもさりげなくフォローしてくれたりしました。
面接慣れしていない薬剤師の方には心強いサポートだと思います。
入社後のフォローも手厚く、何か不安な点があればしっかり対応してくれますし、企業との間に入ってくれます。
>ファルマスタッフはこちら
転職エージェント選びに迷ったらまずはマイナビ薬剤師
マイナビ薬剤師は、求人数が他の転職エージェントよりも多い総合型の薬剤師転職エージェントです。
ファルマスタッフと同じように規模が大きく全国に15か所に拠点があるため、こちらも都道府県を跨いだ転職も安心して行うことができます。
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主な相談方法はメールや電話ですが、面談での相談も行っています。
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筆者利用時は、夜遅くにも関わらず、電話での面接対策を丁寧に行ってくれました。
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相談の方法は、電話やメールがメインになります。
筆者が過去に利用した際には担当の方とLINEでの転職相談ができました。
メールよりも連絡がしやすかったのが印象的でした。
東京オフィス以外では面談はできないので「担当と直接会って面談したい、じっくり条件を考えて転職したい」という方はファルマスタッフやマイナビ薬剤師をお勧めします。
面接対策もしっかりと行ってくれます。
筆者利用時はzoomで模擬面接をしてくれた上に、模擬面接のフィードバックをメールで送ってくれたので、面接本番までにしっかりと準備をすることができました。
特に面談にこだわる理由がなければ薬キャリエージェントの利用をおすすめしたいです。
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まとめ
調剤薬局によっても様々な特色があるため、転職をするなら自分の働き方に合った調剤薬局を選ぶ必要があります。
ミスマッチやブラック薬局への転職を避けるためには、薬剤師転職エージェントを3つ以上利用することが重要です。
転職エージェントを活用しつつ、面接や見学でもしっかりと注意点を見落とさないようにしましょう。