IPO銘柄の選び方をプロが解説!8つのチェックポイントで分かりやすく紹介

IPO投資の銘柄選びのときに

「IPO銘柄はどうやって選べばいい?」
「儲ける銘柄の評価はどうすればいい?」
「銘柄選びで注意点はあるの?」

という疑問を抱いくことはありませんか?

筆者はファンド業務で日々数億円の取引を10年近くしていますが、一番時間をかけているのは銘柄選びです。

特に株式投資の銘柄選びで難しいのは「業績の良い会社の株=利益が得られる」というわけではないところです。

実は、これから株価が上がる可能性の高い材料(カタリスト)が揃った銘柄を選ばなければならないのです。

具体的には四半期決算の進捗や同業他社の動向と比較しています。

それを知らずに銘柄を選ぶと、なかなか株価が上がらず、大多数の負け組投資家になってしまいます。

とはいえ、通常の株式投資の銘柄選びのコツを身に付けるには知識やある程度の経験が必要になります。

つまり、それなりの時間が必要になるわけです。

それを聞いて、「そんな悠長なことは言っていられない!」と思う人もいるでしょう。

でも安心してください。実は例外があります。IPO銘柄です。

IPOに関して言えば、初心者でも簡単に銘柄を選べるようになります。

なぜなら、チェックするポイントが明確で絞られているからです。

この記事を読むことで、IPO投資の銘柄選びのコツを身に付けることができます。

その結果、初値売りで利益をきちんと取れるようになるでしょう。

今回は、そんなIPO銘柄の選び方について解説していきます。

IPOの初値売りに成功するには「初値>公募価格」となる銘柄を選ぶ

IPO投資では、初値売りが基本的な投資方法です。

初値売りというのは、IPO銘柄の上場時に初めて付いた株価で売却することを言います。

初値売りは最も簡単なIPO投資の方法といえるのです。

この初値売りですが、公募価格を初値が上回る銘柄を選ばなければ、損をしてしまいます。

例えば、IPO銘柄の公募価格が2,000円で初値が1,800円だと、200円分の損失を被ることとになるのです。

そのため、IPO銘柄を選ぶ際には、初値が公募価格を上回るものを選ばなくてはいけません。

といっても、初値がどうなるかあらかじめ確実に知ることはできません。

ただし、予測することはできます。

その予測をするためにチェックしておくべきポイントについて、次に紹介します。

まずチェックしたいのは、このポイント!

IPOの初値売りを成功させるために、まずチェックしておきたいポイントは8つあります。

それは、

  1. 公募株>売出株になっている?
  2. 市場の規模>吸収金額になっている?
  3. 再上場銘柄ではない?
  4. 2桁の増収増益が続いている?
  5. 旬のテーマや人気の業種?
  6. 大株主にベンチャーキャピタルはいない?
  7. 上場市場は東証一部じゃない?
  8. 前回のIPOからの期間はどれくらい?

です。

間違った銘柄選びをしないためにも、このチェックポイントを理解しておきましょう。

それでは、それぞれの内容について説明していきます。

1:「公募株>売出株」になっている?

1つめのチェックポイントは、公募株数が売出株数を上回っているか、という点です。

公募株が売出株より少ない場合は、初値が公募価格割れする可能性が高くなってしまいます。

なぜかと言うと、売出株というのは元々の株主が手持ちの株を市場へと放出するものだからです。

その目的は、もちろん利益を獲得することです。

一方、公募株というのは上場する会社が市場へと放出するものです。

その目的は、事業の拡大などに必要となる資金を調達することです。

例えば、これまでの事業に加えて新たな分野に進出したい場合がそうです。

また、売上を何倍にもしたいと思っている会社が、そのための設備投資など行う場合がそうです。

これらの資金を借入や自前で調達することができない場合に、上場して多くの投資家から調達するわけです。

既存の株主が利益を得るための株と、事業拡大の資金調達のための株とでは、どちらに投資したいでしょうか?

言うまでもなく、後者です。

なぜなら、会社の今後の成長につながるからです。

予想どおり会社が順調に成長すれば、いずれ、その分の利益が株主に還元されるでしょう。

このような理由から、公募株が売出株より多い方が、市場では好意的に捉えます。

会社の成長に期待できるため、投資家からはプラス評価を受けるのです。

2:「市場の規模>吸収金額」になっている?

2つめのチェックポイントは、市場の規模と吸収金額についてです。

吸収金額が市場の規模を上回っているようだと、公募価格割れする可能性が高くなってしまいます。

なぜなら、その市場によって市場参加者の数も売買代金も異なるからです。

最も市場の規模が大きいのは東証一部です。

この市場は、トヨタなどの超大型株が多数上場しているあることから、機関投資家が参加しています。

資金量の豊富な機関投資家が参加しているため、自動的に東証一部は市場規模が大きくなるのです。

ちなみに、市場ごとの規模の目安としては、下記のとおりです。

  • 東証一部上場の場合…250億円前後
  • 東証二部上場の場合…10億円前後
  • 東証マザーズの場合…30億円前後
  • ジャスダックの場合…20億円前後

吸収金額については、

(新規発行株数+既存株主による売出株数)×公募価格

という式で算出することができます。

上記から判るように、例えば100億の資金を調達しようと思ったら、東証一部に上場するしかありません。

東証一部の規模は250億円程度ですので、100億を調達できるだけの市場規模があります。

市場規模がそれだけ大きいのは、参加者数が多く、売買代金も大きいからです。

100億の資金を調達したいのに、東証マザーズに上場しても、その資金は調達できません。

なぜなら、売買代金も市場参加者も東証一部より少ないからです。

そんな小規模な市場で100億の資金を集めようと上場したら、どうなるでしょうか。

その会社の株の多くに買い手がつかない状態になってしまいます。

その結果、株価が下がり、公募価格割れしてしまうでしょう。

IPO銘柄を選ぶ際は、上場する市場と吸収価格とを比較してみてください。

そして、吸収金額が市場の規模の範囲内に収まっているかどうかを確認しましょう。

3:再上場銘柄ではない?

3つめのチェックポイントは、再上場銘柄かどうか、という点です。

IPO銘柄の中には、過去に一度上場したものの上場廃止となり、再度上場する会社も時折混じっています。

再上場する会社の場合、投資家の評価は通常の新規上場よりも厳しくなってしまいます。

なぜかというと、一度上場してから上場廃止しているからです。

上場廃止になった過去というのを、投資家は嫌がります。

「一度上場廃止している以上、また同じことにならないとは言い切れない」とみなされてしまうのです。

つまり、通常の新規上場とは違い、マイナスからの再スタートということになります。

そのため、投資家が再上場の銘柄に向ける目は通常の新規上場銘柄よりも厳しいものになるのです。

本来、再上場できるまでに業績が回復したことはポジティブです。

ですが、そのことは投資家にとって評価に値しません。

再上場の会社が市場で評価されるには、よほどの好材料がないと難しいでしょう。

このような事情から、再上場の会社の場合は公募価格割れしやすくなってしまいます。

4:2桁の増収増益が続いている?

4つめは、2ケタの増収増益が続いているかどうかをチェックしましょう。

増収増益が続いている会社の方が、市場の評価は高くなります。

ここで問題になるのは、どのくらいの増収増益幅か、ということです。

増収増益が続いている場合でも、その割合が5%や6%など、1ケタの場合は、低成長とみなされます。

投資家が評価するのは、やはり2ケタの増収増益です。

そのため、増収率と増益率のどちらも前期との比較で10%以上が続いているものを選ぶようにしましょう。

さらに、今期の業績見通しもチェックする必要があります。

今期の見通しでも、増収増益率が10%以上になると予想されているものを選ぶといいでしょう。

ただし、業績見通しはあくまでも予測にすぎません。

そのため、過去のデータも参照して、業績見通しが現実的かどうかを予測しましょう。

また、その会社の売上が、各四半期のどこに集中するかにも目を向けると、より予想しやすくなります。

これらのデータを参考にし、会社の業績見通しが強気すぎるか保守的すぎるか判断すると良いでしょう。

5:旬のテーマや人気の業種?

チェックするべき点の5つめは、旬のテーマや人気の業種かどうか、という点です。

IPO銘柄と一口に言っても、その事業内容は様々です。

事業内容によって、人気が出るものと不人気なものが分かれることもあるのです。

特に人気となりやすいのが、旬のテーマに沿った事業内容の銘柄です。

今でいうと、

  • AI
  • 5G

などは注目度が高く人気になりやすいです。

また、IT系や飲食も根強い人気です。

中でも飲食は、株主優待を実施しているものに人気が集まる傾向があります。

反対に、

  • 不動産
  • 食品
  • 塗料メーカー

など、人気が集まりにくい業種もあります。

このような銘柄が上場しても、注目度が低く公募価格割れしやすい傾向にあります。

また、以前はバイオベンチャー企業も人気がありました。

しかし、最近では業績の見通しがつけにくいことがネックとなり、不人気となることも少なくありません。

筆者としては、やはり旬のテーマに沿った事業内容のIPOに注目するべきだと思います。

IPOでより高い初値を付けるには、より多くの人から注目を集めている必要があります。

どちらかといえば、常に一定の注目を集める根強い人気のある銘柄よりも、旬のテーマの方が注目されやすいでしょう。

ただし、IPOの頃には旬を外れてしまっているということもあるので、その点は気を付けてください。

市場で人気のある銘柄の業種のトレンドに、常に目を向けておくと良いでしょう。

6:大株主にベンチャーキャピタルはいない?

6つめのチェックポイントは、大株主にベンチャーキャピタルがいるかどうかです。

ベンチャーキャピタルが大株主になっている銘柄は、投資家から敬遠されがちです。

なぜなら、上場した時にベンチャーキャピタルが保有株を売却してしまう可能性があるからです。

ベンチャーキャピタルは、未上場の会社の株を買って事業の拡大を支援しながら上場までをサポートします。

未上場時に買ったその会社の株(未公開株)を上場時に売却することで、利益を得ることを狙います。

そのため、ベンチャーキャピタルが大株主にいると上場時に株を売却してしまう可能性が高いのです。

大株主なので、保有している株数も多く、これを売却すると株価が大幅に下落する可能性があります。

そうなることを投資家は嫌がるので、IPOになかなか申し込みません。

その結果不人気になってしまい、上場しても初値が公募価格割れしてしまいがちなのです。

7:上場市場は東証一部じゃない?

7つめのチェックポイントは、上場する市場についてです。

日本の株式市場は、主に東証一部と二部、マザーズ、ジャスダックがあります。

この中で、上場するなら東証一部が好まれると思われがちです。

ですが、IPOにおいてはそうとも限らないのです。

IPOにおいて注目されるのは、今後の成長スピードが早いと予想される企業です。

そのため、人気があるのは東証の中でも今後の成長に期待できる企業です。

つまり、新興市場といわれるマザーズやジャスダックなどに上場する企業が人気となります。

東証一部に上場するためには、高いハードルがあります。

そのため、東証一部に上場する企業は、今後の成長にはあまり期待できません。

どちらかと言うと、既に成長した企業や成熟した企業などが多いのです。

会社の規模も大きいため、今後の急成長を望むことは難しいでしょう。

そのせいで、IPOにおいては東証一部上場企業の人気はあまり高くないのです。

また、東証一部上場企業の場合、調達する資金の額が新興市場とはケタ違いに大きくなります。

さらに、上場基準として株主を2,200人以上作らなくてはいけません。

つまり、その分個人投資家の株主も増えることになります。

それにより、上場初日には個人投資家による初値売りを狙った売りが多数入ることが予想されます。

そうなると、上場日には売り圧力が強まるため、下落しやすくなってしまうのです。

8:前回のIPOからの期間はどれくらい?

最後のチェックポイントとなるのは、前回開催されたIPOからどのくらいの期間が空いているか、という点です。

前のIPOの開催から時間が空いている場合は、狙い目といえるでしょう。

なぜかといえば、IPOが開催されるまで期間が空いた場合、人気が集中しやすくなるからです。

IPOというのは、常に行われているわけではありません。

時には1か月以上、1件のIPOもないこともあります。

もしも、チェックしているIPOが前のIPOから間が空いているのであれば、初値が公募価格を上回る可能性が高まります。

例えば、5月の前半や1月、または2月のIPOは初値が高騰しやすい傾向があります。

というのも、5月はIPOの件数が少なくなるからです。

5月は初旬にゴールデンウィークを挟むため、IPOの件数が減ってしまいます。

その上、4月の最後のIPOから5月の最初のIPOまで間が空いてしまいます。

その分、数少ないIPOに資金をつぎ込みやすくなり、期待も高まります。

それが、高騰しやすくなる原因です。

2月の場合も同様です。

12月の終わりから1月の初めにかけては、年末年始の休みがあります。

そのせいで、1月のIPOは実施されないことが多く、むしろ行われることの方がまれといえます。

そのため、大抵の場合は2月にその年の最初のIPOが実施されます。

ということは、12月の最後のIPOから次のIPOまで、1か月以上も間が空いてしまうこととなるのです。

IPOにチャレンジする投資家が増えると、IPO銘柄への人気が集中します。

そうなると、初値も高騰しやすくなるのです。

もちろん、人気が高まった分だけ抽選に当選する確率は厳しくなります。

ですが、当選した場合の勝率は高くなるうえ、株価高騰による利ザヤの拡大も狙うことができます。

もちろん、前回のIPOから期間が空いたからといって、初値が公募価格を上回るとは限りません。

そのため、先に書いた他のチェックポイントは必ず確認してください。

ほとんどのチェックポイントをクリアしているなら、そのIPOの初値は想定以上に高騰するかもしれません。

ここまで第一段階のチェックポイントとして8つの項目について詳細を解説しました。

それでは次に、第二段階のチェックポイントを解説します。

次にチェックしたいのは「仮条件≧想定価格」かどうか

上記の8つのチェックポイントを確認した後は、別の点もチェックしてみましょう。

次にチェックしたいのが、仮条件と想定価格との差についてです。

なお、想定価格というのは、上場が承認される前に算出された上場後の想定株価のことです。

上場が承認されるには、その前に審査を受けなければなりません。

審査の際に、上場により調達する資金の用途を明らかにするのです。

その内容を受けて、主幹事証券会社は上場済みの類似会社と上場予定の会社とを比較します。

このようにして、想定価格を算出するのです。

こうして算出した想定価格が仮条件の下限より低ければ、市場の需要は予想以上に高いということになります。

反対に、仮条件の上限より想定価格が高ければ、市場の需要は予想を下回るということになります。

市場からの需要が高ければ、初値が公募価格を上回る可能性は高くなります。

反対に、市場からの需要が低ければ、初値が公募価格を下回る可能性が高くなります。

このように、仮条件と想定価格とを比較することで、初値を大まかに予想できます。

あくまでも公募価格を上回るかどうか、という予想になりますが、方向性が分かるのです。

そのため、仮条件と想定価格との比較は必ず行いましょう。

ここまで合計9つのチェックポイントを説明しました。

残すはあと1つです。

最後のチェックポイントが何なのか、さっそく見てみましょう。

最後にチェックしたいのが、「公募価格=仮条件の上限」かどうか

最後のチェックポイントとなるのが、公募価格と仮条件についてです。

公募価格が、仮条件の上限になっているかどうかチェックしましょう。

IPOでは承認後、公募価格を決定するために1,500円~2,000円というような値幅を決めます。

価格がはっきりとせず、値幅になってしまっている状態のことを、「仮条件」といいます。

なお、この場合は2,000円が仮条件の上限ということになります。

個人投資家は、この仮条件の範囲の中で、どの価格で購入したいかを決めます。

それを希望購入価格として、購入株数と一緒に証券会社を通じて申告します。

これを、ブックビルディング(需要予測)といいます。

このブックビルディングを基にして、正式な公募価格を決定するのです。

公募価格が仮条件の上限を下回るということは、買いたい人が少ないということです。

つまり、それだけ人気がないことになるので、初値が公募価格割れする可能性が高くなります。

公募価格割れする銘柄を避けたいのなら、公募価格=仮条件の上限となる銘柄を選びましょう。

ここまで、IPO投資の銘柄選びのポイントについて解説しました。

もしも、せっかく選んだ銘柄が公募価格割れしそうだと判明した場合はどうすれば良いのでしょうか?

次にこのことについて説明します。

もしも公募価格割れしそうだと判断したらどうするか

IPOに申し込んだものの、公募割れしそうだと判断した場合はどうしたらいいのでしょうか?

抽選に外れてしまった時は問題ありません。

ですが、当選した場合は、そのIPOを買うしかないのでしょうか?

また、「公募割れしそうだから」と購入を辞退した場合にはどのようなペナルティがあるのでしょうか?

ここからは、購入を辞退する場合の対処について解説します。

購入辞退とペナルティを天秤にかけよう

公募価格割れしそうなIPOだと判断した場合、それを買う必要は特にありません。

申し込んでもし当選したとしても、辞退することを考えるべきでしょう。

ただ、そう簡単に辞退出来るかというと、必ずしもそうとは限りません。

証券会社によりますが、IPOの購入を辞退すると、何らかのペナルティを受ける場合があるからです。

そのため、そのペナルティと、公募価格割れのリスクを天秤にかけて判断する必要があります。

IPOに申し込む際は、その証券会社でIPOの購入を辞退した場合にペナルティがあるのか、確認しておきましょう。

また、そのペナルティの内容についても必ず確認してから申し込むことが大切です。

さて、ここまで読んで気になるのが、「購入辞退に、ペナルティを課す証券会社はどこか」ということです。

次に、このことについて説明します。

購入辞退でペナルティが課される証券会社はここだ!

それでは、購入を辞退した場合にペナルティが課されてしまう証券会社は、果たしてどこなのでしょうか?

そのペナルティの内容と共に、紹介します。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券

三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、IPOの購入を辞退した場合にペナルティを課しています。

その内容としては、

  • 購入をキャンセルした翌日から起算して、1カ月間は新規のIPO申し込みができない
  • 現在申込中のIPOが、全て無効になる

というものです。

SMBC日興証券

SMBC日興証券も、IPO辞退にペナルティを課しています。

内容は三菱UFJモルガン・スタンレー証券と同様で、

  • 購入をキャンセルした翌日から起算して、1カ月間は新規のIPO申し込みができない
  • 現在申込中のIPOが、全て無効になる

の2点となっています。

岡三証券

岡三証券におけるIPO辞退のペナルティは、

  • 購入を辞退した後は、IPOの申し込みができなくなる

という1点です。

上記2社よりもペナルティの数は少ないのですが、内容は厳しいものになっています。

岡三証券の場合、ペナルティの期限がないので注意が必要です。

東洋証券

東洋証券のIPO辞退のペナルティは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券やSMBC日興証券と同じです。

内容は、

  • 購入をキャンセルした翌日から起算して、1カ月間は新規のIPO申し込みができない
  • 現在申込中のIPOが、全て無効になる

の2点となっています。

ここまで、購入辞退にペナルティを課す証券会社とその内容を説明しました。

実は、購入辞退にペナルティを特に設けていない証券会社の中にも、要注意のところがあります。

それは、そもそもキャンセル自体ができない証券会社です。

次にこのことについて説明します。

抽選前に購入申込をする証券会社はキャンセルできない!

IPOの辞退について注意したい点があります。

それは、抽選前に購入申し込みをする証券会社の場合は購入のキャンセルができない、ということです。

具体的には、後期型と言われる証券会社ではIPOの辞退ができません。

ちなみに、後期型に該当する証券会社には、

  • 楽天証券
  • カブドットコム証券
  • 岩井コスモ証券
  • GMOクリック証券

の4社があります。

後期型の証券会社の特徴として、抽選スケジュールが他社よりも遅いことが挙げられます。

抽選のタイミングが遅い分、抽選の前に購入申し込みを行うのが特徴です。

後期型の証券会社の場合、抽選に参加する時点で購入の意志があると見なされます。

そのため、当選してから購入をキャンセルすることはできません。

このことには十分に注意しましょう。

気をつけようIPO投資でよくある失敗事例

ここまで、IPOの初値売りに向けた公募価格を上回る銘柄を選ぶためのポイントを紹介してきました。

また、併せて購入辞退をした際のペナルティを課す証券会社も紹介してきました。

しかし、いくらこのようなコツを知っていたとしても、やはり失敗してしまうケースは存在します。

IPO投資でどのような失敗をしてしまうのか、その代表的なものをいくつか紹介していきます。

もっと上がると思い、初値売りで全売却しなかった

まずは、初値売りで全部を売却しなかったケースについてです。

この失敗は、IPOで100株ではなく、500株など多くの株数を公募価格で購入した際によくみられます。

IPO投資では、初値売りで売り抜けることを第一に考えるべきです。

しかし、「初値がこれだけ上がるなら、今後はさらに上がるだろう」と期待を持ってしまうこともあります。

そう考えた時、500株のうち、例えば200株か300株を初値で売って利益確定させます。

しかし、残りはもっと上がるまで保有しておこうと考えてしまうのです。

その結果、予想が外れて株価が下がり、公募価格を割り込んで含み損を抱えてしまいます。

特に、注目度が高いIPOや人気があるテーマ株のIPOなどでこの失敗が起こりがちです。

なぜなら、こういう人気テーマのIPOは、人気とあいまって初値が公募価格を大幅に上回ることが多いからです。

その結果、それ以降は下落基調が続くケースも珍しくはありません。

つまり、人気のために初値が高騰し、本来の株価から市場価格が大きく乖離してしまうのです。

それを調整するかのように、上がり過ぎた株価が本来の株価に収束していきます。

収束した結果、株価が公募価格よりも高いのであれば問題ありません。

ですが、そうならなければ問題です。

また、中には値動きが荒い銘柄もあります。

その場合、あっという間に公募価格割れとなるほど値下がりすることも珍しくありません。

それにより含み損が増えてしまいます。

時には利益を確保した分以上の含み損となってしまうこともあるでしょう。

このような失敗を防ぐためにも、株主優待狙いなどで株数を確保する分以外は初値売りで全売却してしまいましょう。

その上で、今後の成長に期待して何株か保有したいなら、初値売りで値下がりして底打ちするのを待つのです。

それから、再び上昇トレンドに入った時に、買い直す方が賢明と言えます。

ここまで、IPO投資の際の銘柄選びのコツやキャンセルの注意点を説明しました。

実は、ここまでの説明は、抽選ありきのIPOのプライマリー投資が対象です。

ですが、IPOにはプライマリー投資の他に、「セカンダリー投資」もあります。

次に、セカンダリー投資について説明します。

もし抽選に外れた場合はIPOのセカンダリー投資も検討してみよう

IPO投資には、セカンダリー投資という裏技的な投資方法もあります。

これは、IPOが上場したタイミングで購入して、値上がり益の獲得を狙う方法のことです。

IPO投資は、初値売りが主流です。

しかし、初値が付いた後も値動きが安定せず、大きく動くケースが良く見られます。

セカンダリー投資では、その値動きを狙って投資していきます。

この方法には、

  • 抽選を受ける必要がない
  • 上場後の値上がり益を狙える
  • 株価が何倍にもなることもある
  • 信用取引が可能

といったメリットがあります。

IPO投資の最大のデメリットは、抽選を受けて当選しなくてはいけないということです。

しかし、セカンダリー投資の場合にはその必要はなく、公募価格割れを気にする必要もありません。

また、セカンダリー投資は、IPO銘柄を購入しなくてもペナルティはありません。

さらに、資金拘束もないうえに、信用取引も、上場後に少し時間が経てば可能になります。

そうなれば、資金が少なくても株式投資ができるのです。

普通の株と同じように誰でも購入でき、大きな値上がり益を狙うことができるのが、セカンダリー投資のいいところです。

ただ、値上がりするまでに時間がかかることもあるので、その点は注意が必要です。

まとめ

IPO投資では、公募価格割れしてしまうと損をすることになります。

それを防ぐために、銘柄選びはしっかりと行わなければいけません。

そのためのチェックポイントを紹介しました。

ですが、これは全てクリアする必要はありません。

ですが、やはり最低9割はクリアしておいてほしいところです。

ほとんどクリアしていない銘柄は避けた方が無難でしょう。

また、IPOに当選してから辞退することでペナルティが課せられる証券会社もあります。

自分が使っている証券会社にはペナルティがあるかどうか、あらかじめ確認しておくことも大切です。

IPO投資は勝率も高く、利益も大きい投資方法です。

ですが、当選しなければならないのが大きな問題です。

あまりにも当選しない場合は、セカンダリー投資も視野に入れておくと良いでしょう。

監修者

10年以上ファンド業務で取引を行っている経験から発信しております。