IPOで資金の目安はいくら?少額な資金に適した抽選方式や資金拘束のタイミングとは

IPOに参加する際に気になることの一つが、資金です。

「IPO参加したいけど、どれくらいの資金が必要になるの?目安を知りたい」

「資金が少ないのにIPOに参加しても大丈夫かな?」

「資金が必要なタイミング・拘束期間を知りたい」

と疑問に思う人もいるかもしれません。

IPOに参加する上で、資金のことは当選確率を上げることと同じくらい、投資家にとって頭の痛い問題なのです。

筆者はファンドで株の売買を行い、年間数億円単位の取引を10年以上続けています。

それに加えファンドとは別に会社の資金を株の売買で運用しています。

単なるケアレスミスで資金が足りなくなることがありますが取引のチャンスを逃して悔しい思いをしたことがありました。

特にIPOの場合、上場のタイミングは一度きりですので、資金不足で購入できなければ、そこで終わりです。

ここまで読んで、

「資金のことでIPOの購入を逃したらどうしよう」
「IPOで必要な資金額や入金タイミングが分からないけど、大丈夫だろうか?」

と不安に思う人もいるでしょう。

今回はそんな人のために、IPOに必要な資金額や資金が必要となるタイミングをまとめました。

この記事を読んでいただければ、もう戸惑うことはありません。

それでは最初に、IPOの資金がどれくらい必要か、ということについて見ていきましょう。

IPOの資金はどれくらい必要?

そもそもIPOは抽選に当選しなければ申し込めません。

当選確率を高めるためには、1社に限らず複数の証券会社から申し込むのが基本です。

その際、限られた資金をどう活用するかが重要になります。

IPOの申し込みは、基本的に1単元、つまり、100株単位で申し込みます。

例えば、公募価格が1株2,000円のIPOなら、1社の申し込みにつき20万円の資金が必要になるのです。

10社の証券会社から申し込めば、この場合は200万円の資金が必要ということになります。

「IPOの資金=IPO銘柄の公募価格×購入株数(100株単位)×応募する証券会社数」というのが、IPOに必要な資金を計算する際の基本的な考え方になるのです。

つまり、公募価格と購入株数、応募する証券会社数に比例して必要資金額が増えます。

たくさんの証券会社から応募したくても、資金が限られていれば、それも難しいでしょう。

そのため、限られた資金の中で複数の証券会社から申し込むには、ちょっとした工夫が必要になります。

その工夫とは、資金を効率的に活用することです。このことを次に説明します。

IPOの資金を効率よく活用するための考え方

IPOでは、資金が多ければ多いほど、より多くの証券会社から申し込むことができます。

しかし、多額の資金を用意できない人は、工夫が必要になります。

その時に考えなくてはいけないのが、効率の良い資金の活用方法です。

先ほど、「IPO資金=IPO銘柄の公募価格×購入株数(100株単位)×応募する証券会社数」という式を基本的な考え方として紹介しました。

しかし、その資金を全額用意しなければいけないのかといえば、そうとは限りません。

IPOは、証券会社によって資金が必要になるタイミングが異なります。

全額必要になるのは、抽選を受ける際に資金を預ける、前受金が必要な証券会社ばかりに申し込む場合です。

しかし、証券会社によっては前受金がいらないこともあります。

また、抽選のタイミングが遅い、後期型の証券会社もあります。

つまり、抽選時期の違いをうまく利用することができれば、必要な資金を全額用意する必要はないのです。

さて、効率的な資金の活用法とともに注目しなければならないのが、証券会社選びです。

IPOに使う資金を確認し、どんな抽選方式が当選確率を上げられそうか考えなければなりません。

次に、このことについて説明します。

資金の多さによって選ぶべき抽選方式(証券口座)は変わってくる

IPOの抽選方法は、どの証券会社でも同じというわけではありません。

抽選方法と資金量とを照らし合わせた上で、選ぶべき証券会社が変わってくるのです。

IPOの抽選方法には、大きく分けて

  • 完全平等抽選
  • 資金比例抽選
  • その他(ステージ制、ポイント制)

の3種類があります。

抽選方法は、必要資金額や当選確率と密接な関係があります。

自分の資金量と合わない抽選方法の証券会社で応募しても、当選確率が低くなるだけです。

当選確率を少しでも高くするには、抽選方法の特徴を理解しなければなりません。

それぞれの抽選方式にはどのような特徴があるのかを知り、どの証券会社から応募するかを考えましょう。

そして、自分の資金量に合った抽選方法の証券会社から申し込みましょう。

それでは、次に、IPOの各抽選方式のうち、完全平等抽選と資金比例抽選について詳細を説明します。

資金が少ない人は、完全平等抽選の証券会社からIPOに申し込もう!

資金が少ないのであれば、完全平等抽選の証券会社からIPOに申し込みましょう。

なぜなら、当選確率が資金量に左右されないからです。

完全平等というだけあって、1口座につき1票だけ当選する権利がある、100%平等な抽選をしています。

口座を開設してからの期間や資金量、取引回数などといった要素は全く考慮されません。

口座開設したばかりの初心者でも、長い間取引している資産家でも違いはなく、誰もが平等に抽選されます。

この抽選方法であれば、資金が少なくても不利になることはありません。

マネックス証券GMOクリック証券が完全平等抽選を採用しています。

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資金豊富な人は、資金比例抽選の証券会社からIPOに申し込もう!

資金量が豊富な人は、資金比例抽選の証券会社を選びましょう。

資金比例抽選であれば、資金がある限りは何口でも申し込むことが可能です。

つまり、資金が多ければ多いほど当選確率が高くなるのです。

例えば、1口あたり100万円必要なIPOがあるとします。

その場合、資金が100万円以上200万円未満なら、1口しか申し込めません。

しかし、資金が200万円以上あれば、2口以上申し込むことができます。

2口申し込めば、当選確率は2倍になるのです。

資金が300万円、400万円と多くなるにつれ、申し込める口数も増えていきます。

そうなれば、当選確率もその分増えていきます。

人気が高いIPOの場合、当選の倍率も高くなります。

この場合、さすがに億単位の資金がないと、当選確率が目を見張るほど上がる、ということはないでしょう。

しかし、それほど人気が高くないIPOの場合は、複数口の当選も目指すことができます。

なお、この抽選方法は、楽天証券やSMBC日興証券などが採用しています。

ここまで完全平等抽選と資金比例抽選という、IPOではおなじみの抽選方法について説明しました。

次に、IPOで知っておきたい豆知識を説明していきます。

それは、資金のことと、完全平等抽選と資金比例抽選以外の抽選方法のことについてです。

まずは、資金に関する豆知識から説明します。

【番外編1】資金が不要な「前受金不要」のIPO抽選もある

証券会社によっては、事前に資金を入金する「前受金」が不要なところもあります。

資金が少ない場合は、このような証券会社から優先して申し込みましょう。

当選することを考えれば、IPOでは、主幹事証券を含め全ての幹事証券から申し込むに越したことはありません。

しかし、それをするとなると、申し込む証券会社数に応じて必要な資金はどんどん増えてしまいます。

限られた資金の中でこのようなことをするのは不可能なので、現実的な手段を取らざるを得ません。

つまり、資金量に応じて申し込む証券会社を取捨選択する必要があるのです。

その際にぜひ選びたいのが、前受金不要の証券会社です。

前受金が不要な証券会社の一覧は下記となります。

  • 野村證券
  • いちよし証券
  • 松井証券
  • ライブスター証券
  • DMM.com証券
  • 岡三オンライン証券
  • エイチ・エス証券
  • むさし証券

前受金不要の証券会社なら、事前に資金を用意しておく必要がありません。

その分の資金を別の証券会社に回すことができるので、資金が少なくても申し込みができます。

そのため、前受金が不要な証券会社には、積極的に申し込みましょう。

そして、前受金が必要な証券会社に関しては、慎重に判断して申し込むかどうか決めるのです。

このようにして、まずはIPOに申し込む証券会社を選別していくことをお勧めします。

それでは次に、完全平等抽選と資金比例抽選以外の抽選方法について説明します。

まずは、SMBC日興証券のステージ制についてです。

【番外編2】SMBC日興証券での売買が豊富な人は、ステージ制が利用できるかチェック!

普段からSMBC日興証券で売買していて、その実績が豊富な人にはIPO当選のチャンスが増えます。

自分がステージ制を利用できるか、チェックしてみましょう。

SMBC日興証券のステージ制は、取引コースがネット取引の「ダイレクトコース」の場合のみ、適用されます。

対面取引には、適用されません。

SMBC日興証券のステージ制は、

  • ブロンズ
  • シルバー
  • ゴールド
  • プラチナ

の4ステージに分けられています。

ステージごとに、抽選票数が異なるのが特徴です。

SMBC日興証券では、新規に口座を開設してから3か月の間は、ブロンズステージとして1票もらえます。

それ以降は、預かり資産残高か信用取引建玉金額によって判定されます。

どちらかが、月末残高の3か月平均で250万円以上であれば、ブロンズステージとして判定されます。

どちらもそれ以下なら、ステージが設定されなくなるので注意しましょう。

1,000万円以上ならシルバーステージになり、抽選票数は5票になります。

以降、3,000万円以上ならゴールドで15票、5,000万円以上ならプラチナで25票もらえます。

なお、SMBC日興証券のステージ制による抽選で気を付けなければならない点があります。

それは、この抽選方式での抽選を最初から行うわけではない、ということです。

これが、どういうことか説明します。

SMBC日興証券のIPOは、全体の85%が店頭取引に配分され、資産家のお得意様が優先されます。

残り15%のうち、10%はダイレクトコースで完全平等抽選によって当選者が決まります。

そして、残りの5%をこのステージ制で抽選するのです。

実は、この残りの5%をステージ制で抽選するタイミングというのが、通常の抽選とは違います。

ステージ制による抽選が行われるのは、完全平等抽選が行われた後です。

しかも、抽選対象者は、完全平等抽選で外れた人たちです。

つまり、完全平等抽選の落選者向けの敗者復活戦が、このステージ制ということになります。

そのため、IPOによっては、完全平等抽選までで当選者が決まってしまうこともあります。

その場合、ステージ制の抽選は行われません。

また、ステージ制の配分率が5%というのは、最大の場合で、状況によっては、0%になることもあるのです。

なお、ステージ制で当選した場合は、IPOの抽選結果に「優遇当選」と書かれます。

このステージ制の判定は、月末の時点で行われます。

そのため、月末のみ資金を入金、あるいは信用取引の建玉を保有すれば、ブロンズステージは維持できます。

SMBC日興証券を利用している人は、ぜひステージ制も活用しましょう。

次に、SBI証券のポイント制について説明します。

【番外編3】SBI証券でIPOに何度も申し込んだことがあるなら、ポイント制も利用しよう!

SBI証券からIPOに申し込む人は非常に多いのですが、その秘密はポイント制にあります。

SBI証券は口座開設数も多く、主幹事証券にもなることも多いです。

そのため、IPOの証券会社の一つとして注目する人も多いでしょう。

しかし、SBI証券は資金比例抽選を採用しているので、一般の投資家には少々ハードルが高めです。

それをフォローしているのが、ポイント制です。

ポイント制は、IPO抽選に外れたときに付与されるポイントによって、抽選を行うサービスです。

SBI証券独自のサービスで、「IPOチャレンジポイント」と呼ばれています。

このポイントは、多ければ多いほどIPOに当選する確率が高くなり、当選するまで減ることはありません。

ですから、「資金が少ないからSBI証券で申し込むのはやめよう」と思っている人にもチャンスがあります。

SBI証券では、IPOに積極的に参加するほどチャンスが広がる仕組みになっているのです。

ここまで、前受金不要の証券会社や、ステージ制やポイント制という抽選方式について説明しました。

それでは次に、IPOにおける効率的な資金活用法を考える上で欠かせない事柄について説明します。

具体的には、IPOの抽選日と入金タイミング、資金拘束期間についてです。

これらのことについて、どのようなことを理解しなければならないのでしょうか。

【重要】IPO抽選日と入金タイミング、資金拘束の期間を理解しておこう

IPOで資金を効率的に活用するためには、

  • IPOの抽選日
  • 主幹事証券、幹事証券の入金タイミング
  • 資金拘束期間

などをあらかじめ理解しておくことが重要になります。

証券会社ごとに異なる点もあるので、きちんと理解したうえでIPOに参加しましょう。

それでは早速、どのような流れで確認作業を進めるべきか、説明します。

まずは抽選日を確認

IPOに申し込む際は、まず抽選日を確認しましょう。

この時、幹事証券の中に後期型の証券会社があるかどうかを、特に注意して確認してください。

さらに、グループ会社に大手証券会社が入っている後期型証券会社があるかどうかも確認しましょう。

例として、2020年2月7日に上場したジモティー(7082)について見てみましょう。

この会社のIPOスケジュールは、

  • 抽選申込期間…1月23日(木)~1月29日(水)
  • 当選発表日…1月30日(木)
  • 購入申込期間…1月31日(金)~2月5日(水)
  • 上場日…2月7日(金)

という日程になっています。

また、幹事証券会社については、

  • 主幹事証券会社…大和証券
  • 幹事証券会社…みずほ証券、SBI証券、藍澤証券、岩井コスモ証券、松井証券、いちよし証券
  • 委託幹事証券会社…岡三オンライン証券、GMOクリック証券、ライブスター証券、DMM.com証券、楽天証券

といった内訳になっています。

この中では、岩井コスモ証券と松井証券、GMOクリック証券が後期型のスケジュールになっています。

つまり、前期型証券会社で外れた場合に、この3社にはそのまま資金移動できるのです。

ただし、後期型の会社であっても、資金拘束のタイミングよりも前に入金確認を行う会社があります。

このような会社では、資金移動ができない可能性があるので注意しましょう。

なんにせよ、後期型スケジュールの証券会社が含まれているかどうかを調べることが大切です。

事前入金が必要か否かを次に確認

次に、事前の入金が必要かどうかを確認することが大切になります。

先ほどのジモティーで言えば、

  • いちよし証券
  • 松井証券
  • ライブスター証券
  • DMM.com証券
  • 岡三オンライン証券

が前受金不要の証券会社です。

ただし、いちよし証券については気を付けてください。

なぜなら、いちよし証券では、他社で同一のIPOに申し込んでいないか、という点を重視しているからです。

いちよし証券では、IPOに申し込む際、他社と重複して申し込んでいない、ということを同意させます。

重複申込があったと後で判明した場合、何らかのペナルティがあると思った方が良いでしょう。

また、いちよし証券はキャンセルのペナルティも厳しいです。

もし同社から申し込んだIPOをキャンセルすれば、同社からのIPO申し込みは二度とできません。

そのため、いちよし証券からの申し込みは慎重に行いましょう。

さて、前受金が不要の証券会社の場合、当選した後で入金することになります。

その猶予期間は証券会社によって異なりますが、おおよそ5日前後です。

前受金が不要な証券会社に申し込む際は、すべて当選したと仮定して資金を用意しましょう。

上記の例で考えた場合、いちよし証券はペナルティが厳しいため、申し込まない方がいいかもしれません。

その場合は、残る4社分の資金を用意しておきましょう。

また、後期型の証券会社の中には、資金拘束の前に入金確認を行うところもあります。

具体的には、楽天証券が該当します。

楽天証券では、抽選に申し込むタイミングで1回目の入金チェックが行われます。

この時、購入できるだけの口座残高があるかどうかをチェックされるのです。

保有している株などの投資商品は現金とみなされず、口座残高にカウントされないので注意しましょう。

このチェックをクリアできないと、楽天証券では抽選を受けられません。

そのため、一時的にでも入金しておく必要があります。

その後、当選して購入を申し込んだ時点で、2回目のチェックが行われます。

資金拘束は、このタイミングで実施されるのです。

楽天証券は、この1回目のチェックがあるため、後期型といっても前期型との併用ができないことがあります。その点に、注意が必要です。

資金拘束のタイミングを確認

資金拘束のタイミングは、証券会社によって異なります。

具体的なタイミングとしては、

  1. ブックビルディングに参加した時点で資金拘束される会社
  2. 抽選の際に資金拘束される会社
  3. 後期型の証券会社

の3つです。

どのパターンでも、当選結果が出る前に資金拘束されるのが特徴です。

落選すれば、その時点で資金拘束は解除されます。

しかし、補欠当選はそのまま資金拘束されてしまうので注意してください。

証券会社ごとの資金拘束のタイミングとしては、

「①ブックビルディングに参加した時点で資金拘束される会社」

  • SMBC日興証券
  • マネックス証券
  • 東洋証券

「②抽選の際に資金拘束される会社」

  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
  • 東海東京証券
  • 丸三証券

「③後期型の証券会社」が

  • 楽天証券
  • カブドットコム証券
  • 岩井コスモ証券
  • GMOクリック証券

となっています。

ちなみに、この中でも後期型の証券会社には、ある特徴があります。

それは、抽選スケジュールが遅い分、抽選の前に購入申込を行うということです。

そのため、後期型では抽選に参加するということと購入することは、同じ意味合いになります。

つまり、購入前提で抽選に参加することになるのです。

同じ後期型の証券会社の中でも、資金拘束のタイミングは微妙に異なります。

楽天証券、カブドットコム証券、岩井コスモ証券の3社は、購入申込の時に資金拘束されます。

なお、楽天証券については、先述のとおり、抽選申込の時点で1度目の入金チェックがあります。

そして、購入申込の時点で2度目の残高チェックを行い、ここで資金拘束をします。

また、GMOクリック証券だけは他の3社とタイミングが異なります。

抽選を行うタイミングで、資金拘束されるのです。

その点で考えると、GMOクリック証券は②とタイミングが一見同じように見えるでしょう。

しかし、②の場合は抽選を行ってから購入申込を行います。

一方、GMOクリック証券は購入申込を行ってから抽選を行うのです。

そのため、②とは資金拘束のタイミングが異なります。

ここまで、各証券会社のIPOにおける資金拘束のタイミングについて説明しました。

それでは次に、IPOで、どのようにスケジュールを組み立てるべきかということを説明します。

資金移動を考えながら、スケジュールを組み立ててみよう

これまで、前受金の要・不要、抽選日、資金拘束のタイミングなどを解説してきました。

このことを踏まえたうえで、IPOのスケジュールを組み立てていきましょう。

その際は、エクセルなどを活用して証券会社ごとのタイムスケジュールを作成することをおすすめします。

タイムスケジュールの作成方法としては、

  1. 前受金が必要かどうかで証券会社を分ける
  2. 主幹事証券とそれ以外に分ける。
  3. 主幹事および幹事証券ごとに、ブックビルディングの期間、入金締切日、抽選日、資金拘束日などを記入する。
  4. 主幹事証券と幹事証券について、それぞれ資金をどれくらい振り分けるか記入する。

という順番でまずは行います。

なお、④の時に、主幹事証券には多めに資金を振り分けるといいでしょう。

例えば、先ほどから例に挙げているジモティーで考えてみましょう。

ジモティーの主幹事証券と幹事証券は、

  • 主幹事証券会社…大和証券
  • 幹事証券会社…みずほ証券、SBI証券、藍澤証券、岩井コスモ証券、松井証券、いちよし証券
  • 委託幹事証券会社…岡三オンライン証券、GMOクリック証券、ライブスター証券、DMM.com証券、楽天証券

となっています。

これを踏まえた上で、どこから申し込むか、資金のやりくりをどうするかを考えましょう。

まずはIPOの鉄則として、割当数の多い主幹事証券からの申し込みは必ず行います。

つまり、この例の場合は、大和証券からの申し込みを行う、ということになります。

先ほども書きましたが、その際には主幹事証券に資金を多く割り振ります。

つまり、大和証券に資金を多く割り振るようにしましょう。

次に、その他の幹事証券について考えます。

例えば、SBI証券については、申し込みにあたり、IPOチャレンジポイントを使用すると良いでしょう。

そして、前受金が不要な岡三オンライン証券にも申し込みを行います。

さらに、GMOクリック証券は後期型で完全平等抽選なので、こちらにも申し込んでしまいましょう。これが、作戦の一例です。

この時、前受金が不要な証券会社で当選した場合は、落選した証券会社からは速やかに資金を引き揚げます。

そして、後期型の証券会社に資金を移動してしまいましょう。

これは、前期型で落選してしまった場合も同様です。

別の作戦も紹介します。それは、完全平等抽選や後期型の証券会社に申し込むという方法です。

例えば、前者はマネックス証券、後者は楽天証券などが該当します。

先ほどの作戦と同様、主幹事証券の大和証券には多めに資金を割り振りましょう。

その後、楽天証券に資金を入金して、ブックビルディングに参加します。

そして、楽天証券の最初の入金チェックが終わった時点で資金を引き出し、マネックス証券に移動します。

マネックス証券では、ブックビルディングに参加した時点で資金が拘束されます。

ブックビルディングに参加して、落選が決まったら速やかに資金を引き出し、再び楽天証券に入金します。

もしもマネックス証券で当選した場合は、主幹事証券など落選したところから楽天証券に資金を移動しましょう。

ちなみに、証券会社によって多少異なりますが、IPOの抽選結果は夕方から夜にかけて発表されます。

スムーズに資金移動できるよう、ネットバンクを開設して即時入金ができるようにしておくのがおすすめです。

ここまで、資金移動を考慮しながらスケジュールを組み立てる方法について説明しました。

次に、複数のIPOに申し込む場合について説明します。

限られた資金の中で複数のIPOに申し込みたい、という人もいるのではないでしょうか。

少ない資金で複数のIPOに申し込むにはどうすれば良いのか、コツを紹介します。

【番外編】複数のIPOに申し込む場合は同資金申込ができるかどうかが大切!

証券会社によっては、同資金で複数のIPOに申し込めるところもあります。

例えば、IPOに参加するために10万円の資金が必要なA社と、20万円必要なB社に申し込むとします。

通常は合計で30万円必要なところ、20万円の資金で両方に申し込めるのです。

実際、SBI証券や松井証券など多くの証券会社では同資金での申し込みが可能です。

しかし、すべての証券会社で可能なわけではないので、注意してください。

また、同資金申し込みが可能な証券会社でも、抽選日が同日の場合は同資金申込ができないこともあります。

その場合は、どちらか1社しか申し込めません。その点にも注意しましょう。

ここまで、IPOにおける資金の効率的な活用法について説明してきました。

ここまで説明した内容は、あくまでもIPOで初値売りをしたい人向けのものです。

ですが、IPOには、セカンダリー投資という投資手法もあります。

最後に、このセカンダリー投資について説明します。

IPOに外れても大丈夫!残った資金でセカンダリー投資にチャレンジしよう!

IPO投資では、上場したばかりのIPO株を購入して、その後の値上がり益を狙う裏技もあります。

この投資方法を、セカンダリー投資といいます。

IPO投資では、初値売りでの利益獲得を狙うプライマリー投資が主流です。

しかし、プライマリー投資は、抽選に当選しなければそもそも参加できないという点がネックになります。

その点、セカンダリー投資の場合は上場してから購入するので、抽選のデメリットがありません。

IPO銘柄の中には、初値からさらに値上がりするものもあります。

それを狙って投資するのが、セカンダリー投資です。

実は、セカンダリー投資にも、プライマリー投資に負けないくらい値上がり益が狙えるケースがあります。

また、タイミングによっては信用取引が可能になる点も、セカンダリー投資の長所です。

抽選がないため、購入しなくてもペナルティがないのもメリットです。

さらに、購入前の資金拘束もありません。

普通の株と同じように誰でも購入でき、大きな値上がり益を狙えるというメリットがあるのです。

ただし、プライマリー投資とは違い、利益が出るまでにある程度の期間が必要となります。

まとめ

IPOにおいて、資金の活用というのは非常に重要なポイントです。

うまく活用すれば、同じ資金で抽選を何度も受けることができます。

抽選に何度も参加することで、当選確率を上げることができるのです。

そのためには、今回説明したように、各証券会社のIPOのスケジュールを把握する必要があります。

事前入金の要・不要、資金拘束のタイミング、抽選日程などをしっかり確認しておきましょう。

最初のうちは、スケジュールを上手に立てられないかもしれません。

ですが、IPOに参加するうちに、次第にコツが解ってくるでしょう。

IPO投資で資金を活用するために、この記事を参考にしてスケジュールを考えてみてください。

監修者

10年以上ファンド業務で取引を行っている経験から発信しております。