工場の給料はいくら?相場と給料が上がらない原因を仕組みから解説
「工場勤務の給料はいくら?安いの?相場を知りたい」
「工場の給料が上がらない。頑張っているのになぜ?」
「工場の給料を上げたい。どうすればいいの?」
と工場勤務の給料について悩んでいませんか?
筆者は10年ほど工場勤務を経験し、労働組合の執行委員も経験しました。
そのため「工場の給料が安い。頑張っても上がらない」といった声は労働組合の活動中に何度も聞いたリアルな現場の声です。
一方で労働組合員目線や会社との交渉から工場勤務の給料は年功序列の影響を大きく受けていることも痛感しました。
この記事では工場給料が上がらない理由を紹介したあとに具体的な対処法を紹介していきます。
記事を読むには10分ほどかかりますが、工場の給料の仕組みは今後の働き方に非常に影響を与えるため必ず一読してくださいね。
目次
工場勤務の給料・年収はいくら?
日本の工場勤務の給料は、2023年現在、月平均で32万円と言われています。
年収ベースでは、520万円が工場勤務の平均年収となります。
日本のサラリーマンの年収が440万円程度ですので、平均よりも上の給料となります。
工場勤務の平均年収(東洋ワーク)
参考:製造業の給料・年収について|工場・製造・オフィスワークならWork to you!求人ナビ
しかし、あくまで社員全体の平均値ですので、若年層の給与水準は低く、長い年月を掛けて徐々に昇給していきます。
これは、製造業を中心とした「年功序列制度」の名残が強く、長く勤めることで給料を上げていく制度が原因となります。
さらに平均年収を上げている要因として、ボーナス(賞与)や手当面のウエイトが非常に大きいと感じます。
筆者が勤めていた工場も、月の給料は10年間でさほど変わりませんでしたが、ボーナスと残業手当の利率がアップした影響で年収が上がりました。
しかし、
- ボーナスは会社の業績が大きく影響する
- 残業代は不確実性の高いもの
ですので、前年よりも年収が下がるということも経験しました。
工場勤務の年収は
- 昇給スピードが緩やかなこと
- ボーナスや手当のウエイトが大きいこと
- 頑張りに給料が直結しづらいこと
- 平均年収よりも高いこと
の4つを覚えておきましょう。
ところで
「大手企業であれば給料は高いでしょ?」
と気になりませんか?次では日本を代表するトヨタ自動車の給料について触れたいと思います。
日本のトップ企業トヨタの工場給料はいくらくらい?
世界が誇るトヨタ自動車の工場勤務者は、一体いくら給料を貰っているのでしょうか?
トヨタ自動車の工場で働くには、社員の他にも期間工という働き方があります。
結論からお伝えすると、
- 高卒入社の30代で450~600万円
が平均的な年収となります。
トヨタ自動車の平均年収と比べると、工場勤務は低めの水準になりますがそれでも高いですね!
期間工と言われる3年未満の契約社員でも月収30万円程度貰え、一時金を含めると在籍1年目で400万円を超えることもざらにあります。
参考:トヨタの期間工が一番人気ってホント?人気の秘密と祝い金40万円GETの方法|進撃の期間工
実は寮費も無料で一時金も多いためガッツリ稼ぎたい人はトヨタの期間工がおすすめです。
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働き方に関しても、給料が高いからといって難しいということではありません。
トヨタ自動車といえども、基本的には流れ作業がメインですので、向き不向きのある働き方となります。
次に、工場の給与体系について解説します。
工場の給料は年功序列で決まる
工場の給料は、終身雇用制度が色濃く反映されているため、長く勤めることで徐々に給料が上がります。
今でこそ転職が当たり前の世の中になってきましたが、高度成長期の日本を支えてきた製造業を中心に、終身雇用を軸としたビジネスモデルが今でも定着しています。
先ほどご紹介したトヨタ自動車も、
「終身雇用は難しい」
「定昇ゼロ」
という発言で話題になりましたが、まだまだ年功序列の賃金形態は工場のスタンダードといえます。
筆者が10年勤めた化学品工場も、10年、20年と積み上げることで給料が上がっていきます。
しかし、現実的には手取りの給料にさほど影響はなく、
- 残業代手当の割増し
- 役職手当(リーダークラスのみ)
- ボーナスの割増し
といった要素が加味されることで、年収ベースで水準が上がるイメージとなります。
もし、ネット上の口コミなどで、
「平均年収が高いから工場で働きたい」
「工場なら安定収入が得られそう」
「実力で評価して欲しい」
という期待をして本記事をご覧になられているようであれば、次の項からじっくり読み進めて頂ければと思います。
続いては、筆者の工場経験を元に、工場の給料について解説します。
【元労組役員が語る】工場の給料は個人の能力にさほど影響を受けない
中途入社で10年間工場に勤めて感じたのは、工場の給料は上がりづらいということです。
筆者が勤めていた工場では、一部能力主義要素を盛り込んだ給与体系でしたが、結局のところ年功序列がベースになっています。
工場という職場環境は、チーム一丸となって生産活動を安定的に進めていくため、社員一人の能力を評価しづらい業務形態といえます。
現場でよく耳にするのは、
「○○さんより働いている」
「上司が仕事しない」
「管理部門より現場の方が大変」
といった不平不満です。
しかし、何百人、何千人という従業員が働いている環境ですので、一人一人の個性を活かすより、誰もが同じ仕事を安定的にこなすことを重要視しているのです。
いわゆる「働かないおじさん」の方が給料が良いのは、終身雇用や年功序列の影響を大きく受けている名残といえるでしょう。
労働組合の執行委員まで経験した筆者だからこそ、組合員目線、会社目線といった様々な角度で、工場の働き方を俯瞰して見ることができました。
これから工場に転職を考えている方は、
「個人の能力の影響力は高くない」
「突出した能力よりも適応能力」
「現場では主体性より従属性が求められる」
といった点に注意しておきましょう。
これらと引き換えに工場雇用は仕事を覚えやすく雇用も安定しているため長く働きやすい環境となっています。
次に、工場の給料が上がりづらい理由をさらに掘り下げていきます。
工場の給料が上がりづらい理由は6つ
筆者の体験談の中で、工場の給料が上がりづらい理由を簡単に触れてきましたが、さらに深掘りして解説していきます。
人によってはメリットに感じるかと思いますので、工場の転職を検討しているすべての方にご覧いただければ幸いです。
それでは、一つずつ解説していきます。
理由1:根強い終身雇用
工場特有の社風ともいえるのが、昔ながらの終身雇用制度です。
時代の流れに乗って、能力主義要素を取り入れている会社もありますが、そのほとんどが機能していないと言えます。
筆者の職場の上長いわく、特定の個人をプラス査定で評価してしまうと、相対評価で上げられない人が出てくるそうです。
そのため、当たり障りなく標準評価で毎年査定をしていることから、基本的には長く勤めることで少しずつ昇給していきます。
さらに、終身雇用のカラーが強い会社では「クビにしづらい」という本来メリットともいえる部分が、働かないおじさんを生み出し、ネックになっています。
長期就労を前提条件にしているので、
「実力で勝負したい」
「20~30代で1,000万円プレイヤーを目指す」
「出世して20代で管理職を目指す」
という方々には、温度差を感じずにはいられない環境と言えるでしょう。
続いて2つ目の理由です。
理由2:年功序列
終身雇用とセットになるのが、年功序列の給与体系です。
年功序列ということは、上のポストが空かない限り、役職に就くことができないということです。
さらに、配属された職場によって管理職の数も変わりますので、運任せな部分もあるのです。
年功序列の会社では、
- 上司の数
- 同僚の数
- 組織の大きさ
などが、昇給昇格に大きく影響を与えます。
肝心な昇給額についても、ベースとなる給与テーブルが決まっているため、毎年数千円が工場の相場となります。
参考:【これって多いの?少ないの?】気になる昇給の平均額について調べてみた | リクナビNEXTジャーナル
続いて3つ目の理由を解説いたします。
理由3:個性より協調性を重視した体質
長年蓄積されたノウハウにより、誰が作業しても同じような結果になるよう、日々作業改善が行われています。
そのため、個人の能力を発揮する機会が少なく、突出した能力を持ち合せている人よりも、汎用性のある働き手を求めています。
工場に勤めていると、頻繁に職場異動している人達が目につきます。
異動するたびに仕事を覚えなければならないため、文句を言わずに黙々と仕事できる人が重宝されるのです。
会社のさじ加減で転勤もあり得る環境ですので、スキルを磨いていきたい人には窮屈に感じるかもしれません。
理由4:従業員が多い
工場特有の従業員の多さが、個々人の個性を薄めてしまいます。
働く従業員が多ければ多いほど、出世やチャンスをものにしづらいということです。
工場では、1,000人~10,000人という規模の従業員が働いていますので、出世競争には実力よりも運の要素が強いと言えるでしょう。
甲乙つけない昇給昇格制度の弊害として、若いうちに最前線に立って経験を積めないというリスクがあります。
転職をして年収アップを狙う人からすれば、従業員の多さはネックになり得るのです。
次に、5つ目の理由をご紹介します。
理由5:ボーナスのウエイトが大きい
工場の口コミサイトや求人情報などを見ていると、年収ベースで実績を見る機会があります。
一見すると好条件に見えるのですが、工場の年収の多くは、高額なボーナスが押し上げているケースが少なくありません。
有名な大手企業ほど、ボーナスの割合が大きくなっています。
裏を返せば、業績による影響が大きいということですので、業績不振で赤字に転落した場合のリスクは計り知れません。
2020年はコロナ禍の影響により、大手航空業界や、名だたる観光業界に多大な損害を与えました。
「大企業だから絶対に安心」という時代ではないということを、頭の片隅に入れておきましょう。
最後に、6つ目の理由となります。
理由6:手当(福利厚生)に依存
工場の魅力といえば、手厚い福利厚生や手当ではないでしょうか。
例えば、
- 家賃補助、住宅手当、借り上げ社宅、独身寮
- 各種保険(雇用保険、健康保険、団体保険)
- 年金(厚生年金、企業年金、確定拠出年金)
- 交通費(ガソリン代、定期代)
- 財形貯蓄制度
など、従業員の実費負担を抑えるための制度が充実しています。
しかし、これも裏を返せばベース賃金を上げられない分、手当で補っているという見方もできます。
ベース賃金を上げてしまうと、会社の固定費が増えてしまうからです。
手当を手厚くしておけば、利用する人は属人的であるため、固定費の一律アップを避けることができるのです。
続いては、工場を辞めやすい人の特徴を解説します。
【コラム】工場は能力の高い人ほどすぐ辞める
筆者が労働組合の執行委員を経験してきた中で、数多くの組合員(従業員)と意見交換を交わしてきました。
そこで感じたのは、「優秀な人ほどすぐに辞める」ということです。
優秀な若手ほど、
「この会社に残っても出世できない、工場勤務を辞めたい」
「能力主義は建前だと感じた」
「もっと挑戦できる環境で働きたい」
といった理由で、早々と見切りをつけて工場から転職してしまいます。
これは社員だけでなく、本来社員を目指すはずの「契約社員」「派遣社員」の方々も、社員登用を断って辞めてしまいます。
移り変わりの早い世の中だからこそ、10年、20年と長い年月を掛けて昇給する制度に、若手が魅力を感じないのだと思います。
筆者が退職した理由も、
- 年功序列要素が強すぎること
- 多拠点化が進んで転勤の可能性が高まったこと
- 転勤のメリットを感じない
- 自己成長の場としてふさわしくない
といった点が、主な退職の理由となります。
労使の関係も良好な会社でしたが、良くも悪くも工場は変化の少ない(起きづらい)業界だなと、10年間勤めて痛感しました。
反面、与えられた職務を機械的に全うできる人が工場では重宝されます。
筆者は工場でたくさんの人を見てきましたが、内向的で寡黙な方が20年、30年と長らく働いているイメージがありました。
続いては、労働組合に期待はできるのか?について元執行委員が解説します。
給料を上げたいけど労働組合のベースアップに期待はできるのか?
「給料を上げるために労働組合の力を借りれば良いのでは?」と疑問に思う方も少なくありません。
しかし、執行委員を経験した筆者の経験からすると、ベースアップで毎年賃上げが可能なのは、トヨタ自動車をはじめとする一部の大企業のみです。
その日本を代表するトヨタ自動車でさえ、一律のベースアップが難しい時代に突入しました。
先行き不透明な世の中だからこそ、会社側は固定費の削減に注力し、なるべくベース賃金の底上げを避けようとします。
一従業員が給料を上げたいと思っても、なかなか労使協議で賃上げが叶う時代ではないのが現実です。
「定期昇給が工場の魅力では?」
「長く勤めることで給料が上がるのでは?」
「毎年必ず給料が上がるんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、そもそも定期昇給とは、「昇給の機会がある」という意味ですので、会社の業績によっては昇給額がゼロのケースもあり得ます。
残念ながら、工場勤めは会社の業績に大きく左右される業界ですので、労働組合の力をもってしても、期待するほどの賃上げは難しいと言えるでしょう。
次に、工場で働きながら給料を上げるたった一つの方法をご紹介します。
工場で働きながら給料を上げる方法は一つだけ
「工場で働くのが好き」
「工場でキャリアを積み上げたい」
「工場で経験したスキルを活かしたい」
このような考えを軸に給料を上げるには、給与水準の高い会社に転職するしかありません。
一口に工場といっても、業界を変えるだけで給料はガラッと変わります。
同じような仕事内容だとしても、会社の利益率が高ければ、それだけ従業員に還元できるのです。
さらに、中途入社の場合、新卒では入社できないような有名企業に応募することもできます。
中途入社であれば、これまでの経験にフォーカスして選考を進めるため、実績に基づいて評価してくれるからです。
現場ですぐに使える資格や、リーダー経験があると、選考を有利に進めることができます。
給料を上げたい方は、仕事内容を変えずに業界を変えてみましょう。
ここからは、実際に仕事探しをする際に役立つ、転職サイトをご紹介します。
給料アップ!工場の求人探しにおすすめな転職サイトは3つ
工場の転職を成功に導くには、自分にぴったりな使いやすい転職サイトを選ぶ必要があります。
筆者の経験上、使いにくい転職サイトや、質の悪いエージェントサイト利用すると、時間だけが進んで転職活動が停滞してしまいます。
筆者の転職経験として、優良な転職サイトを1つだけではなく、2~3個登録しておくと、幅広く求人に応募することができます。
転職エージェントの質に関しては、登録時の面談で判断ができます。
- 親身になって受け答えをしてくれる
- 否定的な発言をしない
- 転職へ導く熱量をかじること
この3つを意識してみましょう。
それでは、おすすめの転職サイトを一つずつご紹介していきます。
おすすめ1:メイテックネクスト
メイテックネクストは、工場勤務を中心とした製造業の求人を豊富に取り揃えているという魅力があります。
親会社のメイテックに在籍している社員の8~9割が、現場をよく知る元エンジニアなどで構成されていますので、専門知識や企業とのコネクションの深さが強みです。
現場を良く知る担当者だからこそ、求人の質やマッチングの高さが他の転職サービスを圧倒しています。
「次も工場で働きたい」「製造業にこだわりたい」という方は迷わず登録しておきましょう。
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おすすめ2:マイナビAGENT
転職業界で知らない人はいない、マイナビAGENTも、工場への転職で大活躍します。
業界でもトップクラスの求人数を誇り、第二新卒から30~40代のベテラン層まで、幅広い求職者に対応してくれる転職エージェントです。
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おすすめ3:工場ワークス
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雇用形態も正社員を中心に派遣なども選べるため、ライフスタイルに合わせて働くことが可能です。
未経験の方でも採用されやすい求人が多いため、工場で働きたいならぜひ利用してみてください。
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まとめ
工場に勤めていると、昇給ピッチの低い年功序列制度に憤りを感じることがあります。
どんなに仕事を頑張っていても、年長者の方が給料は高いですし、ダラダラと残業している人の方が給料が高いという現状があります。
賃上げ(ベースアップ)に関しても、どこの企業も不景気や先行き不透明な世の中を主因に、会社の財布のひもは固い状況です。
そのため、工場勤めで給料を上げる現実的な方法として、給与水準の高い企業への転職が挙げられます。
今回ご紹介した実績のある転職サイト活用し、満足のいく転職につながれば幸いです。
よくある質問と回答
工場の給料はいくら?
日本の工場の旧臘は32万円と言われています。
年収にすると520万円です。
しかし、あくまで社員全体の平均ですので、若年層の給料は低い傾向にあります。
工場の給料は上がりづらい?
工場の給料は終身雇用や年功序列の傾向が強く上がりづらくなっています。
そのためどれだけ能力が高くても若ければ給料は低いままです。
手早く給料を上げたいのなら、経験やスキルを活かして今より給与水準が高い会社に転職しましょう。