【高卒公務員は体力系・事務系を分けてチェック】仕事内容・年収・デメリットとは?
高卒で公務員を目指すとき
「高卒だけど公務員になりたい。現実的になれるかな?」
「公務員ってどんな種類があるのだろうか?」
「公務員って勝ち組?デメリットはないの?」
「確実に公務員になれる対策法を知りたい」
といったことを知りたいと思いませんか?
筆者も検討しましたし、試験を受けたこともあります。
結局私は民間企業で10年の採用担当者を勤めてきましたが、公務員の同期から仕事の実態の情報を定期的に収集しています。
この記事では高卒で公務員になったときの仕事の種類や年収・試験対策について知っていることの全てを紹介していきます。
読むためには5分程度かかりますが、高卒から公務員を目指すために必要な情報をまとめています。
知っておいて損はない情報ですので本気で検討したい方は必ず最後まで一読してください。
目次
公務員は学歴社会!公務員で稼ぎたいなら大卒・院卒のほうが有利
公務員は民間企業以上に学歴社会であるといえます。
理由としては、公務員の世界は、民間大企業以上に学歴偏重で、学歴によって出世できる限界や給料などが最初から決まっているためです。
公務員の給与は学歴別に号棒が決まっており、大卒ほど高い号棒からスタートして昇給も早いといえます。
公務員における「号棒」とは、民間企業における基本給のことを指します。
反対に高卒は、低い号棒からスタートして一生、大卒よりも低い昇給になるので、出来れば大学を卒業しておいた方が有利であるといえます。
次は、高卒でも給与の良い公務員について解説します。
基本的に体力仕事系の公務員は給与が高いといえます。
給料が良いのは警察や消防士だけど体力仕事。ただ事務職の方が体力に左右されずに長く働けるよ。
「高卒公務員で給料がいいのはどんな仕事なのだろうか」と気になっていませんか。
実は、高卒でなれる公務員の中でも給与が高いのは警察や消防、自衛隊であるといえます。
公務員の中でも警察や消防、自衛隊は公安職というカテゴリーに入ります。
公安職は国家の公の安全を守る仕事や、国家の秩序を維持するための仕事をする公務員のことを指します。
通常の公務員とは給与体系が異なる、いわゆる軍隊式の給与体系を採用しています。
事務職が学歴別に出世限界が決まっているのに対して、警察や消防、自衛隊では階級が高くなれば相応の給与が与えられます。
ある程度は学歴で出世できる限界は決まっている世界でもありますが、そもそも長く務まる人が少ない傾向にあるため、長く勤続出来れば昇進できるチャンスは十二分にあるといえます。
ただし、事務職に比べると出世争いが激しく、仕事も体力がないと続かないため、長く続けたいと考えるのであれば事務職の方をおすすめします。
体力に自信がある人は警察・消防士・自衛隊がおすすめ!
体力に自信のある人は、警察・消防士・自衛隊をおすすめします。
警察・消防士・自衛隊は公安職であり、治安を維持することを目的とした組織です。
基本的に警察・消防士・自衛隊は体力がないと勤務できません。
警察官は犯罪者などの対応をする刑事課がありますし、消防士は火事が起こったら緊急出動をする必要性があります。
自衛隊は戦争というよりも災害救助のために体力が必要です。
公安職のデメリットは、体力がないと勤まらないこと
公安職のデメリットは、体力がないと務まらないことにあります。
有名大学の強豪ラグビー部の猛者がガリガリに痩せるほど消防士・自衛隊は訓練が厳しいといえます。
また、警察官になるために必ず通わなくてはならない警察学校は高卒は1年、大卒は半年間通う必要があり、そこで半数近く辞めると言われています。
警察学校のカリキュラムは大半が体力訓練に充てられているようです。
とにかく体力があることが前提になっているため、体力に自信がない人にはおすすめできません。
現業職公務員のメリットは、給与が高い、転勤は都道府県内のみ、賞与が高い、退職金が高い
現業職公務員のメリットは金銭的に恵まれていることです。
具体的には、給与が高く、賞与が高く、退職金が高いといえます。
北海道警察を一例として給与を紹介すると、高卒8年目段階で月30万円を超える給与が支給されています。
退職金は、高卒であっても現業職公務員であれば18歳から定年まで勤務すれば2,000万円以上の退職金があります。
北海道警察は一例として平均2,580万円の退職金を支給していると発表しています。
また、警察官と消防士に限って言えば、転勤は都道府県内のみとなっています。
自衛隊に関しては全国の拠点を異動する必要がありますが、福利厚生が手厚く、寮などが全て無料となることが大きなメリットであるといえます。
警察官・消防士・自衛官のなり方
警察官のなり方としては各都道府県で開催される筆記試験と面接試験に合格後、警察学校を無事卒業しなければなりません。
消防士に関しては市が管轄していることがため、市に問い合わせをするようにしましょう。
一度に複数の自治体の試験を受けることは難しく、消防士試験は日程を統一されていることも多いです。
下記のサイトでは試験の日程を確認できて便利です。
参考:消防士の公務員試験日程一覧 | 公務員試験情報サイト【KoumuWIN!】
消防士試験も警察官同様、筆記試験と面接試験に合格する必要があります。
自衛官に関しては、高校を卒業後、すぐに筆記試験と面接を受けることでなることができます。
ただし、自衛隊に関しては防衛大学校があるため、勉強が嫌でなければ防衛大学校を目指すことをおすすめします。
私の友人でも何名か防衛大学校に通っていましたが、学費も食費も、水道光熱費も、卒業後自衛官になれば、すべて無料です。
卒業後にはいきなり3尉(少尉)となります。
自衛隊のエリートコースですね。
次は、体力仕事が苦手な人におすすめの事務職について解説します。
体力仕事が苦手な人は事務職がおすすめ!
体力仕事が苦手な人は、事務職がおすすめであるといえます。
事務職は現業職公務員と比べて体育会系的な世界ではありません。
警察官・消防士・自衛官の世界は上官が全ての世界であり、上司の意見に対して反論も許されませんが事務職はそうではありません。
また、激しい勤務もないため、長く続けやすいといえます。
事務職のデメリットは給料が低め(若いうちは)
事務職のデメリットは給料が低めということです。
例えば、2022年度松山市役所の高卒事務職の初任給は15万5千円となっています。
消防士の高卒者が約17万円に対して、少し低いといえますね。
事務職のメリットは解雇されない・転勤もない・ボーナス・退職金がある
事務職のメリットは、解雇されないこと、転勤がないこと、ボーナス・退職金があることです。
事務職は現業職公務員と比べて体力を要する仕事がないため、安定して勤務できます。
警察・消防・自衛隊に比べると体力不足で仕事でついていけず辞めなくてはならない状況に陥ることが少ないといえますし、都道府県をまたいだ転勤もありません。
ボーナスや退職金も必ず支給されます。
安くても堅実に勤務することができます。
事務職の仕事内容は主に3種類
事務職の仕事内容は主に3種類です。
- 行政事務
- 学校事務
- 警察署事務官
それぞれについて解説します。
行政事務の仕事内容・倍率
行政事務の仕事内容は、多岐にわたります。
市民課で住民票の発行を行ったり、観光課などで自治体のPRをしたりします。
行政事務の倍率は東京都では13.8倍となっています。
学校事務の仕事内容・倍率
学校事務の仕事内容は、多岐にわたります。
特に小規模な小学校にいる学校事務は、学校の先生からの提出書類を受け付けたり、国からの通達を送りつけたりと、様々な仕事をすることになります。
大規模な学校になってくると、民間企業のように、総務、人事、経理のようなセクションごとに別れた仕事をすることになります。
学校事務の倍率は、京都府では7.2倍となっています。
警察署事務官の仕事内容・倍率
警察署事務官に関しては誤解がないようにお伝えしておくと、警察官になるわけではありません。
逮捕権や銃の携帯などが許される警察官とは異なり、警察署事務官は事務仕事のみを行います。
仕事内容は、遺失物(落とし物)の担当や、犯罪情報収集など、警察官の仕事の補助的な内容になります。
滋賀県の警察署事務官の倍率は、4.7倍となっています。
事務職の給料相場は15万円~
事務所の給料相場は15万円代から16万代からスタートすることになります。
現業職公務員よりも低いですが、仕事の性質が異なるため、やむを得ないといえます。
その代わり、長く勤務することで、人並みのお給料に定年間際になると近づいていくといえます。
事務職のなり方
事務職のなり方としては、基本的には、各都道府県の開催する試験に合格し、面接に合格する必要があります。
自分の受けたい自治体の公務員試験日程を確認するようにしましょう。
また、もしも倍率が高い自治体を避けたい場合には、倍率の低い自治体を狙うことがおすすめであるといえます。
倍率は市区町村によって2倍以上変わってきます。必ずチェックしておきましょう。下記サイトでチェックできます。
次は、高卒公務員志望者が狙うべきは国家公務員より地方公務員がおすすめというお話をします。
地方公務員は都道府県をまたいだ転勤がないため、実は貯蓄などがしやすいといえます。
【重要!】高卒公務員志望者は国家公務員より地方公務員の方が人気!
高卒公務員志望者は、国家公務員よりも地方公務員の方が人気です。
理由としては、以下の理由があります。
- 地方公務員の方が国家公務員より給与が高い
- 国家公務員は全国転勤がある。地方公務員は都道府県をまたいだ異動がない
それぞれについて解説します。
人気の理由1:地方公務員の方が国家公務員より給与が高い
地方公務員の方が国家公務員より給与が高いといえます。
国家公務員には総理大臣などが含まれているため、単純な統計をとれば国家公務員の方が平均年収が高くでます。
しかし、実際のところ、一般の人が就ける職種の中である事務職や現業職公務員といったくくりで見ると、警察官や消防士のような給与の高い公務員がたくさんいる地方公務員の方が平均年収は高い傾向です。
人気の理由2:国家公務員は全国転勤がある。地方公務員は都道府県をまたいだ異動がない
国家公務員は全国転勤があるのに対して、地方公務員は都道府県をまたいだ転勤がありません。
国家公務員は全国転勤が前提となっており、異動が多いため、家を購入できない人が多く官舎が備え付けられています。
一方で地方公務員は官舎などはありませんが、異動がないため、ゆっくりと地元で働くことができます。
コラム:公務員は勝ち組なのか?後悔しないために知っておくべきこと
公務員は勝ち組なのかどうかについては、諸説がありますが、一概に勝ち組であるかどうかは分かりません。
具体的には次のよう点で民間企業の就職に劣る場面がでてきます。
- 公務員を辞めると潰しがきかない(転職市場での価値が低い)
- 大卒より出世することがない
- 退職時に失業保険が出ない
それぞれについて解説します。
デメリット1:もしも辞めると潰しがきかない
もしも公務員を辞めると潰しがきかない状態に陥る可能性が高いです。
公務員を辞めた人に対する世間の風当たりは予想以上に冷たいですし、私も民間企業で採用をしていて、公務員出身者の方が果たして民間企業で馴染めるのか分からず、採用を見送ったことが何度もあります。
利益を出さないと食べていけない民間企業に対して、税金からお金が降ってくる公務員では収益の構造が違います。
公務員からの転職は想像以上に厳しいというデメリットも理解しておきましょう。
自ら稼ぎ出す意欲が公務員にはない方が多くいる傾向のため、その点を理解できていないと、辞めたときに路頭に迷うことになります。
デメリット2:大卒より出世することは民間中小企業と異なり、まずない
大卒より高卒が出世することは民間中小企業とは異なり、まずありません。
大卒は高卒よりも初任給も高い上に、出世しやすい状況で勤務することになります。
入った段階でついた差が埋められることは滅多にないため、人によっては一生、学歴コンプレックスや給与差に悩むことになります。
デメリット3:失業保険は出ない
公務員は必ず退職金が出ることと、解雇がないことが前提となっています。
そのため、失業保険は出ません。
もしも公務員を辞めると、高い退職金を受け取れる代わりに、失業保険はないため貯金を切り崩して生活することになります。
公務員を選ぶ方は辞めることや解雇なんて、ありえない。50年程度、同じ職場で働くといった前提条件となっています。
次は、高卒で公務員になる方法についてお伝えします。
高卒の公務員の倍率なども合わせてお伝えします。
高卒で公務員になるには?高卒程度試験に合格して面接に合格する必要がある
高卒で公務員になるには、高卒程度試験に合格して面接に合格する必要があります。
私は高卒公務員試験に関しては面接官経験がないため、ハッキリと言い切れることは少ないですが、基本的には試験に合格するためには勉強時間の確保が大切であるといえます。
面接に関しては予備校などで模擬面接を行っているところもあるため、面接対策を行ってもらうようにしましょう。
次は、高卒公務員試験の倍率について解説します。
自治体によって倍率は異なるので、自信のない方ほど倍率の低い県を狙ってみましょう。
高卒公務員の倍率は自治体によって異なる
高卒公務員試験の倍率は自治体によって異なります。
東京都の行政職が12.8倍なのに対して、北海道の行政事務は2.8倍となっています。
その差は倍率6倍以上となっています。
極端ですが、北海道に関しては夕張市破綻などで公務員であっても低所得にあえいでいる人が多いので、合格はしやすいといえるでしょう。
次は、公務員試験対策の2パターンについてお伝えします。
基本的には予備校に通うことをおすすめします。
公務員の試験対策は2パターン。予備校に通うのがおすすめ
公務員の試験対策は2パターンあります。
予備校に通うか、独学にするかを選ぶようにしましょう。
予備校に通うとお金はかかりますが、勉強に集中できます。
独学はやる気があれば問題ないですが、モチベーションの維持が難しい傾向にあります。
公務員試験対策は、予備校に通うか、独学にするかを選ぼう
公務員になるにあたっては予備校に通うことをおすすめします。
独学でやるとダラダラして勉強出来ないという方も多いです。
現在、どこかで就職しつつ公務員試験合格を狙っている場合には、土日だけでも通うようにしてください。
予備校に通う場合には、勤務状況や生活リズムに合わせて無理なく選べるところを選ぼう
予備校に通う場合には、勤務状況や生活リズムに合わせて無理なく選べるところを選びましょう。
おすすめの公務員試験予備校としては、LECや大原簿記専門学校がおすすめです。
公務員試験学習で必須の法律学習に強い、という点では、伊藤塾もおすすめであるといえます。
独学の場合は公務員試験の過去問何回も反復して説こう
独学の場合には、公務員試験の過去問を何回も反復して説くようにしましょう。
独学の場合には、これまでの勉強してきたことも重要ですが、どんな試験問題が出題されたかを把握することが大切です。
しっかりと反復することで、合格点を目指すようにしましょう。
まとめ
高卒で公務員試験に合格するためには、各自治体の試験に合格する必要性があります。
基本的には高卒者よりも大卒者の方が待遇が優遇されるため、出来れば大学にいってから試験を受けることが望ましいといえます。
体力に自信のある方は、警察・消防・自衛隊などの現業職公務員をおすすめします。
給与が高く、非常に恵まれた条件で仕事をすることができます。
事務職は給与は安い代わりに、安定して仕事を続けることができます。
国家公務員よりは地方公務員の方が転勤がなく、地元で働くことができます。
自分自身に合った区分を選ぶようにしましょう。