リモートワークで給料はどうなる?悩みを開放するために知るべき法律を人事が解説
コロナウイルスの感染拡大で、
「強制的にリモートワークにされてしまったけれど、給料が減ってしまった」
「労働時間のカウントがいい加減で、通勤手当や残業代などもいきなり削除されて給料が下がってしまった」
と嘆いていませんか。
私は人事担当として約10年間テレワーク等の変則勤務について、企業で導入を推進してきました。
結論からいえば企業はリモートワークだからといって給料を下げることはできません。
リモートワークといえど、基本給などの生活の根幹をなす給与に関しては労働契約法で従業員の同意なしに、安易に下げることはできなくなっているためです。
この記事を読めば、リモートワークで会社から不当に給料を下げられそうになった、あるいは下げられたときに抗議をし、改善を促すことができます。
リモートワークで給料が下がったと思っている方は最後まで読んでいってくださいね。
「リモートワークで給料がさがった。生活が厳しい」
と言う方もいるのではないでしょうか。
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目次
リモートワークとは
リモートワークとは、在宅勤務のことを指します。
テレワークと同義の言葉であり、2016年の働き方改革でも盛んに推進されたものです。
在宅で仕事に参加できることから、
- 要介護の家族を抱える方
- ウイルスや地震などの天変地異災害が起こった場合
でも仕事を継続することが可能です。
在宅で会社の仕事に参加できるため、非常に便利な働き方です。
「リモートワークとは」まとめ
- リモートワークとは、在宅勤務のこと
- 在宅で仕事に参加できるため、「要介護の家族を抱えている方」「天変地異災害が起こった場合」でも仕事を継続できる
「リモートワークって、問題はないの」と気になっていませんか。
次は、リモートワークで給料が下がることについて解説します。
【重要】社員がリモートワークに切り替わっても、給料を下げることはできない
会社が社員に自宅勤務を命令し、社員をリモートワークさせることで、給料を下げることはできません。
労働契約法3条では、社員と従業員双方が給料に関しては同意を得なければ待遇を下げることはできません。
まして、自宅でのリモートワークをしろ、と命令を発動するのは会社側が一方的に行う行為です。
それによって給料を下げることは認められていません。
ヤフーニュースでは非正規労働者に対して自宅待機命令を行い、給与がなくなってしまう従業員が出ていると報道されています。
参考:自宅待機を無給で命じられ 派遣社員もコロナショック|日経xwoman
会社都合の命令であれば、非正規社員に対しても休業補償を行うべきです。
また、法律でも6割の休業補償を支払う義務が会社にはあります。
参考:賃金の支払い(第24条) 休業手当(第26条) 労働時間(第32条) | 厚生労働省 愛媛労働局
また、リモートワークでも残業をすれば残業代を支払う義務があります。
リモートワークだからといって残業代が出ず給料が下がるといった現象そのものが違法行為です。
ところで、「通勤がない分、早めに仕事をして、早めに仕事を終えているけど、これはどうなの?」
という点について解説します。
交通費がリモートワークになると削減される。その分、仕事を前倒しでスタートさせた場合、残業代を支払う義務がある
リモートワークになると、出勤する必要性がない分、交通費などの通勤手当がカットされます。
通勤に要する費用がなくなるためです。
ただし、通勤時間がない分、早めに自宅で仕事をスタートさせた場合には早出残業代を支払う義務が企業には生じます。
参考:福福星堂事件 早朝にタイムカードを打刻、未払賃金400万円求める 「過大な割増請求」で5割減|労働新聞社
会社が普段、指定している始業時刻よりも早く仕事に取り掛かれば、当然残業代はもらえます。
「リモートワークになると、どんなことが発覚してしまうの」と気になっていませんか。
次は、リモートワークで発覚するサボり社員について解説します。
リモートワークで発覚するサボり社員。仕事がそもそもなかった
リモートワークを推進することで、サボり社員が浮き彫りになります。
出勤はしていても、
- 会社の喫煙所で1日時間を潰している
- 外回りの営業に行っているといってずっと実は車で寝ていたりする社員
など、普段から仕事がない社員が発覚します。
社員が悪いように見えますが、企業にも問題があるケースもあります。
仕事がない社員の存在は会社の仕事の任せ方がまずかっただけです。
社員がさぼっていたからという理由で解雇は絶対に許されないです。
仮に仕事をさぼっていたからといって、解雇するということはまず不可能です。
コロナ騒ぎに乗じて解雇されそうになった場合には、弁護士・労働組合に相談するようにしてください。
実は労働基準監督署は労働契約法についてはノータッチです。
裁判で会社と争うか、労働組合を通して団体交渉を行うしか、不当解雇を争うことはできません。
「リモートワークの問題点は分かったけれど、全くメリットはないの」
と気になりませんか。
次は、リモートワークのメリットについて解説します。
リモートワークのメリット3つ
リモートワークは、実は大きな3つのメリットを持っています。
リモートワークをすることによって、頑張っている社員とそうでない社員の仕事ぶりがハッキリと分かる点が一番大きいです。
具体的には、以下の3つです。
- 社員の評価がハッキリする。努力している社員は評価アップ
- 社内ニートなど、仕事をしていない社員が判明する。より真面目に仕事の振り方を管理職が考えるようになる
- 在宅で勤務できるため、ウイルス疾患にかかりにくくなる
それぞれについて解説します。
社員の評価がハッキリする。努力している社員は評価アップ
努力をしている社員は評価が急上昇する一方で、あまり仕事ができない社員は評価が下がります。
リモートワークが行われることで、仕事の判断が労働時間だけではなく成果によってハッキリするためです。
特に、事務職は、成果物のみで仕事が判断されるようになる可能性が高く、仕事がない人は評価をしようがありません。
ExcelやWordなどのOfficeすら使えない年配社員は、評価が下がる可能性が高いですね。
社内ニートなど、仕事をしていない社員が判明する。より真面目に仕事の振り方を管理職が考えるようになる
リモートワークは、社内ニート・やる気のない中年社員など生産性のない社員をあぶりだします。
リモートワークは会社に出勤して、会社にいるだけで何もしていない人が即座に分かってしまうためです。
仮に普段から仕事が仕事を与えられず、会社に来てもエクセルやワードを開いて閉じているだけの社員は一気に注目を浴びることになりますね。
より真面目に仕事の振り方を管理職が考えるようになります。
在宅で勤務できるため、ウイルス疾患にかかりにくくなる
リモートワークは、在宅で勤務できるため、ウイルス疾患にかかる可能性を下げることができます。
ウイルス等の感染病は、人から人に感染するものがあるため、単純に接触を避けることができれば、病気になりにくいためです。
緊急事態であっても、仕事をすることができるというのは非常にメリットが大きいです。
「リモートワークのメリット」まとめ
- 社員の評価がハッキリする。努力している社員は評価アップ
- 社内ニートなど、仕事をしていない社員が判明する。より真面目に仕事の振り方を管理職が考えるようになる
- 在宅で勤務できるため、ウイルス疾患にかかりにくくなる
「リモートワークのメリットは分かったけれど、デメリットはないの」と気になりませんか。
次は、リモートワークのデメリットについて解説します。
リモートワークのデメリット3つ
リモートワークのデメリットとして、以下の3つのデメリットがあります。
- 労働時間カウントが難しい。在宅社員を監視カメラで監視する企業もある
- 仕事量がもともと少ない社員は、残業代が貰えず、基本給のみで生活することになる
- 非正規は自宅待機命令などで給与が60%となってしまう
それぞれについて解説します。
労働時間カウントが難しい。在宅社員を監視カメラで監視する企業もある
在宅勤務は労働時間カウントが非常に難しい側面があります。
仮に自宅からパソコンで会社の仕事に参加する場合、
- パソコンにログインした瞬間を労働時間の開始とみなすのか
- 作業を開始した瞬間を労働時間の開始と見るのか
など、判定が難しいためです。
参考:キヤノンITS、在宅勤務者をカメラで監視|日本経済新聞
日経新聞によると、キヤノンITSは在宅勤務者に対してカメラで監視するなどの措置を行っていることが報道されています。
在宅勤務者を監視するということは、企業が社員を信用しておらず、人権侵害にもつながる発想であり、このようなことは許されるべきではありません。
ただ、監視カメラによる社員監視が、残業代を正確に支給するためであれば、ある程度、監視的な側面は必要となる可能性もあり、非常に難しい問題です。
仕事量がもともと少ない社員は、残業代が貰えず、基本給のみで生活することになる
リモートワークをすることになると、残業代をあてにしていた社員は生活が苦しくなります。
仕事量がもともと少ない社員は、在宅勤務になることでさらに残業代が少なくなるためです。
特に事務職で、必要もないのに生活残業など、会社に少しでも居残って残業代を貰おうとしていた方には非常に厳しい状態になります。
非正規は自宅待機命令などで給与が60%となってしまう
非正規雇用の派遣社員・契約社員・アルバイトの方は、自宅待機命令で給与が60%になってしまう可能性があります。
会社都合の待機命令は60%を企業が保証する義務があるためです。
派遣社員は派遣会社に給与支給義務があり、直接雇用(契約社員・アルバイト)は雇用している企業が、シフト分の60%支払い義務があります。
もしも仮に、いきなりシフトを0にされたなどの違法行為をされてしまった場合、労働基準監督署またはユニオン(外部労働組合)、会社内の労働組合に相談することをおすすめします。
「リモートワークのデメリット」まとめ
- 労働時間カウントが難しい。在宅社員を監視カメラで監視する企業もある
- 仕事量がもともと少ない社員は、残業代が貰えず、基本給のみで生活することになる
- 非正規は自宅待機命令などで給与が60%となってしまう
次は、具体的にどうすれば不当な行為から身を守ることが出来るのかについて解説します。
1人で悩むな!テレワークでの給料減に悩む方は、全国の労基署とユニオンに相談を!
リモートワークで給料が減ってしまったり、解雇されたしまったという方は、1人で悩まずに労働基準監督署と全国各地のユニオンに相談するようにしてください。
参考:新型コロナで非正規の相談増 無給で休業、有休を強要|日本経済新聞
現在、全国のユニオンはコロナウイルスを原因とした不当解雇や違法な減給行為の相談に乗り、経営者に対して団体交渉を申し入れるなどの活動を行っております。
「会社が倒産してしまった」というケースでも、残債(会社に残っている現金やお金に換えられるもの)の中からお金を取り戻すことや、損害賠償請求を経営者本人に行うという方法もあります。
また、未払賃金立替払制度というものがあり、労災保険に加入していた場合、労災保険の中から、給料や退職金が支払われるケースもあります。
「コロナウイルスのせいだから仕方ない」
ではなく、まずは相談して「本当に自分が企業から受けた仕打ちは法的に正しいのかどうか」
について、知識を得るようにしてください。
1人で悩むのではなく、相談を徹底するようにしてください。
電話だけではなくメール相談を行っているユニオンも多いため「メールだけでもしてみよう」
と考えるようにしてみて下さい。
泣き寝入りする必要はありません。
リモートワークの現状に不満があるのなら転職も視野に入れよう
もしもリモートワークの現状、そもそも今の会社の条件に不安があるのなら転職も視野に入れておきましょう。
ただ、自分自身のみで転職活動をするのは、どうしても効率が悪く転職成功率も低くなりがちです。
もし、あなたが転職も検討しているのなら転職エージェントに相談してみましょう。
転職エージェントならあなたのスキルや経歴に見合った正当な評価をしてくれる企業を紹介してくれます。
あなたに合った企業だけを厳選してくれますので必然的に内定をもらえる確立も上がり、効率よく転職活動が行えます。
「転職するかどうかわからないけど相談だけでもいいの?」
と不安な方でも問題ありません。
まずはいくつか求人を紹介してもらい、いつでも現状を打破できるという心のゆとりを持つことも大切ですよ。
筆者が実際に個人・採用側として利用したおすすめの転職エージェントは以下の4つです。
- マイナビAGENT
- 就職カレッジ
- ハタラクティブ
- JACリクルートメント
順に紹介していきます。
マイナビAGENT
マイナビAGENTは業界最大手のマイナビが運営する信頼できる転職エージェントです。
運営元が大手だけあって求人数は他と比べて非常に豊富でサポートもしっかりしています。
始めて転職する方や、今よりも規模の大きな会社にステップアップしたい方に非常におすすめです。
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就職カレッジ
就職カレッジは職歴が浅い方に特におすすめの転職エージェントです。
キャリアがない方は選考が不安かと思われますが、就職カレッジでは未経験者に向けた研修サポートを実施しており、就職活動の基本やビジネスマナーを学ぶことができます。
研修終了後は書類選考なしでいきなり20社と面談する機会もありますので、職歴にとらわれない素の自分で勝負することができます。
紹介先求人も定着率90%以上の優良企業が多いのでこれからキャリアを築きたい方に非常におすすめです。
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ハタラクティブ
ハタラクティブは未経験の職種に非常に強い転職エージェントです。
リモートワークになったことで、「こんなはずではなかった」とギャップに苦しむ方もいますよね。
そんな方は今の業界から離れて別の業界に挑戦してみるのも人生をより豊かにする一つの手です。
ハタラクティブは未経験かつあなたに合った業界の提案に優れているので一度相談することで新しい自分に出会えるかもしれませんね。
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JACリクルートメント
JACリクルートメントは非常に企業に詳しいハイキャリア向けの転職エージェントです。
JACリクルートメントの社員は頻繁に企業とコミュニケーションをとっており、様々な業界に精通しています。
他では中々聞けない内側の濃い情報も聞くことができますので、転職後のギャップも少なくなります。
少しでも上の環境でキャリアと年収をアップさせたい方は一度相談してみましょう。
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まとめ
リモートワークとは、在宅勤務のことを指します。
会社が社員に自宅勤務を命令し、社員をリモートワークさせることで、給料を下げることはできません。
会社の都合で社員に自宅勤務を命じている以上、経営者側はそれを理由に給料を下げることは社員の合意なしには出来ないためです。
通勤時間がない分、早めに自宅で仕事をスタートさせた場合には、早出残業代を支払う義務が企業には生じます。
始業時刻より仕事を早くスタートさせれば、当然、その分だけ企業は社員にお金を支払う義務があるためです。
リモートワークを推進することで、サボり社員が浮き彫りになります。
リモートワークは、以下の3つのメリットがあります。
- 社員の評価がハッキリする。努力している社員は評価アップ
- 社内ニートなど、仕事をしていない社員が判明する。より真面目に仕事の振り方を管理職が考えるようになる
- 在宅で勤務できるため、ウイルス疾患にかかりにくくなる
リモートワークのデメリットとして、以下の3つのデメリットがあります。
- 労働時間カウントが難しい。在宅社員を監視カメラで監視する企業もある。
- 仕事量がもともと少ない社員は、残業代が貰えず、基本給のみで生活することになる
- 非正規は自宅待機命令などで給与が60%となってしまう
リモートワークで給料が減ってしまったり、解雇されたしまったという方は、1人で悩まずに労働基準監督署と全国各地のユニオンに相談するようにしてください。