試用期間中でも退職できる?注意点や円満退職のコツを人事が解説

本記事は試用期間中に退職したいと悩んでいる方に退職のリスクや円満に退職する方法を紹介しています。

採用担当を行なっていた人事の立場から紹介していますのでぜひ参考にしてください。

アドバイザー

筆者はこれまで約10年間、人事を経験し試用期間の退職者を30名ほど見送ってきました。

試用期間での退職は短期離職の職歴が残り再転職がしづらくなる点にご注意ください。

試用期間でも退職はできるのか?

「試用期間で退職したい!」実際に退職は可能?

試用期間で退職したいと思った場合、試用期間で退職することは十二分に可能です。

試用期間中であっても労働者には会社を辞める権利があるためです。

ただし、試用期間中であっても2週間前には退職したいと伝える必要性があります。

なぜなら民法627条では退職を行う場合には、2週間前に伝えることを求めているためです。

参考:民法627条|e-Gov法令検索

辞めたいと思ってもすぐには退職できず2週間は我慢する必要性があるということです。

では試用期間とはどのような意味があるのでしょうか?次で解説します。

試用期間とは

試用期間とは「試みの雇用期間」を指し、正社員採用の可否を決定する期間です。

試用期間がある理由としては、ある程度は緊張感を持って入社当初は仕事をして欲しいという狙いがあるためです。

おおむね半年以内程度が試用期間として妥当です。

試用期間といっても正社員雇用が前提の試用期間である場合には、本人が拒否をしない場合には本採用を拒否することを会社側はできません。

ただし、前述したとおり退職の日の2週間前に労働者側が会社を辞めたいと伝えることは自由です。

「試用期間中に退職したいと伝えたらどんな対応をされるのだろうか」と気になりませんか。

次は、試用期間退職の実際について解説します。

人事が教える試用期間の退職の実際

筆者が人事をしてきた経験の中では試用期間で退職される方は30名以上はいました。

法的には入社して2週間経過すれば会社側から解雇は無理なため自己都合退職しかありません。

実際には上司や採用担当者のところに来て「実はもう会社が合わないと感じるので退職したいです」と相談されます。

その後は実情を把握したいため面談をして意思を確かめてから退職という流れになります。

自己都合退職のデメリットとしては、自己都合退職では失業保険が在籍期間によってはもらえません。

ちなみに失業保険を受給するためには、自己都合退職の場合1年間以上の被保険者期間が必要となるためです。

試用期間で退職するデメリットは3つ

試用期間で退職するデメリットは以下の3つです。

  • 3回以上試用期間で退職していると転職が厳しくなる
  • 貯蓄が少ない傾向にあり、腰を据えた転職活動ができない
  • 転職癖がついてしまう可能性がある

試用期間での退職を考えている方は必ずこれらのデメリットを理解したうえで判断しましょう。

順に紹介していきます。

複数回試用期間で退職していると転職が厳しくなる

複数回試用期間で退職していると、その後の転職活動が厳しくなります。

試用期間で退職しているということは、仕事をすぐ辞めており、仕事が長続きしないと言うことになります。

もちろんブラック企業にあたって仕方なく辞めたパターンもあるので、数回なら印象が悪くなることは少ないです。

しかし、試用期間で退職しても許されるのは、厳密にいうと2回まででしょう。

3回以上ともなると、書類選考で落とされるケースが大半です。

もしあなたが人事の立場なら、「何度も短期離職を繰り返している将来活躍してくれる保証のない人」を採用したいと思わないですよね。

貯蓄が少ない傾向にあり、腰を据えた転職活動ができない

試用期間で退職した人は、貯蓄がすくない傾向にあり、腰を据えた転職活動をしにくいです。

転職活動中でもお金は必要です。

生活費に加え、面接までの移動費など徐々にお金を消費していきます。

結果、貯蓄の底が見えてくると、焦りを感じながら転職活動することになります。

一番最悪のパターンは、焦って転職し、合わない仕事についてしまいまた短期離職です。

こうなるとスキルも経験も積まれず、短期離職の経歴だけが積み重なる悪循環が出来上がります。

そして、定職に付けない自分に劣等感を感じふさぎ込んでしまう方もいます。

ですので、できれば退職前に転職先を決めておくと良いでしょう。

転職癖がついてしまう可能性がある

試用期間での退職の様な短期離職を一度してしまうと、転職癖がついてしまう可能性があります。

「ちょっと合わなければまた転職すればいい」

と、転職に対する抵抗感がなくなってしまうのです。

どうしても精神的に厳しく、続ける気力も体力もない場合は仕方ないかもしれません。

しかし、ただ仕事内容や環境に納得がいかないだけですぐ辞めていては、いずれどこも採用してくれなくなります。

自分に対する100点満点の会社は存在しないのです。

多少の不満であるのなら、我慢する必要はないにしろ、相談することで改善されることもあります。

ですので、その職場を続ける選択肢も捨てないようにしましょう。

ところで「試用期間で円満に退職するためにはどの手順を踏めば良いのだろうか」と気になりませんか。

次は、試用期間で円満に退職するための手順について解説します。

試用期間で円満に退職するための手順

試用期間で円満に退職するための手順として、以下の手順があります。

  • STEP0:【重要】退職は次の転職先を決めてから
  • STEP1:直属の上司に退職を伝える
  • STEP2:上司から人事部へ連絡
  • STEP3:人事部が社長から承認を得る
  • STEP4:本人と人事部で面談
  • STEP5:退職

それぞれについて解説します。

STEP0:【重要】退職は次の転職先を決めてから

一番重要なことですがいまいる会社が嫌だという感情だけで先走り、退職をすることは避けるようにしましょう。

前述したとおり試用期間退職ということは短期職歴となり書類選考や面接での評価が悪くなります。

つまり次の転職先が決まりづらくなるということです。

次の職場探しのための転職活動が長引けば金銭的にも精神的にも追い詰められるでしょう。

結果、妥協して次の職場に入って「やっぱり違うな」と短期離職を繰り返す負のループに入るのが最悪のパターンです。

まずは就職カレッジという転職エージェントに相談して、求人紹介を受けるようにしましょう。

就職カレッジでは定着率が90%以上の企業しか紹介しません。

つまり、働きやすい環境であり、辞める人も少ない厳選された求人ばかりなのです。

そのうえであなたに合った求人を紹介してくれるので、長続きできる会社と出会える確立が格段に上がります。

>就職カレッジはこちら

会社に在籍しながら転職活動を行い、内定を取ってから退職するようにしましょう。

STEP1:直属の上司に退職を伝える

退職を心に決めたら、直属の上司に退職を伝えるようにしましょう。

重要なことは必ず課長級の上司に相談することです。

いきなり部長や人事、社長などの課長よりも上の役職の人に相談をしてしまうと課長のメンツをつぶすことになるためです。

必ず直属の上司に相談するようにしましょう。

このとき退職願がなく口頭による意思表示でも大丈夫なケースが多いです。

会社によっては独自のフォーマット提出を求められます。

相談時に退職願のタイミングを聞いて提出を進めましょう。

STEP2:上司から人事部へ連絡

直属の上司から人事部へ連絡が入ります。

人事部が課長から退職願を受け取り、事情などの説明を受けます。

課長と人事部の間で次の人員調整などの話が進みます。

STEP3:人事部が社長から承認を得る

人事部から社長に連絡を行い、社長に退職願を提出します。

社長が退職を承認をしたら、人事部が辞令を作成します。

社長の承認をして初めて退職を認められます。

STEP4:本人と人事部で面談

退職する本人と人事部で面談を行います。

退職日はいつにするのかなど、改めて最終調整を行います。

最後の給与の支払日などについてしっかりと確認するようにしましょう。

STEP5:退職

退職を会社から認められたら机を整理して退職するようにしましょう。

短い期間であったとしてもお世話になった会社なので、出来るだけ愛想よくしましょう。

次に転職した会社が同業他社などの場合には、特に注意が必要です。

業界内は狭いので噂はすぐに回ってくると考えるようにしましょう。

試用期間で円満に退職するための手順

  • STEP0:【重要】退職は次の転職先を決めてから
  • STEP1:直属の上司に退職を伝える
  • STEP2:上司から人事部へ連絡
  • STEP3:人事部が社長から承認を得る
  • STEP4:本人と人事部で面談
  • STEP5:退職

ところで「試用期間で退職するときには、みんなどんな理由で退職しているのだろうか」と気になりませんか。

次は、筆者が約10年間人事として聞いた退職理由について解説します。

試用期間で退職するときによくある退職理由

筆者はこれまで約10年間ほど、人事を経験してきましたが、試用期間で退職するときによくある理由として、以下の5つをよく聞きます。

  • 上司と合わない
  • 思っていた仕事と違った
  • 残業が思ったより多い
  • 仕事が覚えられない
  • 周囲とうまく溶け込めない

基本的には入社したてなので高いクオリティの仕事は求められませんが仕事を覚えられないと辞めていく人も多いです。

入社したての人にそこまで高いクオリティを求めることはないので気長に仕事をしましょう。

また、上司と合わないといった理由や周囲とうまく溶け込めないといった理由も多いですが入社したてでは話がうまくできなくても仕方ありません。

ゆっくりとコミュニケーションを取れるようになることが望ましいです。

もし試用期間で退職する方は二度とミスマッチ転職をしないために、転職エージェントを活用しましょう。

二度と転職先のミスマッチをしないために

二度とミスマッチ転職をしないために、すぐに退職はしないようにしましょう。

会社を辞めてから転職活動をすると無収入になってしまうため、焦りからブラック企業に入社してしまう可能性もあるためです。

在籍しながら転職エージェントに相談し、自己分析と業界・企業分析をして吟味して転職先を選ぶようにしましょう。

転職エージェントは面接対策なども行ってくれるため、仮に短期離職をしてしまったとしてもうまく切り抜ける面接術なども教えてくれます。

筆者のおすすめは就職カレッジです。

サポートも手厚く、あなたの希望にも時間をかけてヒアリングしてくれるため、安心して利用できるサービスです。

書類選考なしで面接に進むことができるので、転職活動をスピーディに進めることができます。

>就職カレッジはこちら

積極的に活用し、内定を獲得しましょう。

まとめ

試用期間で退職したいと思った場合、試用期間で退職することは十二分に可能です。

試用期間中であっても労働者には会社を辞める権利があるためです。

試用期間とは、試みの雇用の期間を指し、正社員採用の可否を決定する期間です。

会社が合わないと試用期間退職される方は非常に多いです。

試用期間で円満に退職するための手順として、以下の手順があります。

  • STEP0:【重要】退職は次の転職先を決めてから
  • STEP1:直属の上司に退職を伝える
  • STEP2:上司から人事部へ連絡
  • STEP3:人事部が社長から承認を得る
  • STEP4:本人と人事部で面談
  • STEP5:退職

二度と転職先とミスマッチ転職をしないために、転職エージェントを活用して業界研究と会社研究を徹底し、短期離職を防ぐようにしましょう。

監修者

上場・ベンチャー・中堅企業で様々な役割を経験。今なお、採用・人事の業務を最前線で経験し、「いま」の「生きた」知見を発信しています。