やりがい搾取とは?原因や搾取が起きやすい職場の特徴と回避方法を解説
やりがい搾取とは、従業員に対し「やりがい」という目に見えない価値を与えて仕事の意欲をコントロールする行為のことを指します。
年功序列が崩壊し「お金」で従業員に報いることが厳しくなってきた企業はモチベーションをコントロールするために様々な工夫をしています。
モチベーション高く働けることは幸せなことです。
ですが度を超えると賃金を支払わずやりがいだけを与える「やりがい搾取」となるのです。
筆者は約10年ほど企業で人事を経験し、ユニオン(合同労働組合)と労務トラブルを話し合ってきました。
この記事を読めば、やりがい搾取の特徴や原因を理解でき、やりがい搾取から逃れることができます。
「給料は安いけど、いい職場なんだよね」とならないようにぜひ最後まで一読ください。
「人間関係の悪い職場に当たったらどうしよう」
「ブラックで給料も低い会社は嫌だ」
と、不安でいっぱいになりますよね。
しかし、どれだけ企業分析しても実際に入社してみなければわからない事柄も多いものです。
そんなときにチェックしたほうがいいポイントは「定着率」です。
定着率が高いほど、安定して長く働いている人が多いということです
ただし定着率は基本的に公表されておらず、一人でチェックするのは相当大変でしょう。
そこでおすすめしたいのが18-34歳の方を対象としている就職カレッジという就職支援サービスです。
就職カレッジは定着率の悪い求人は紹介せず、なんと定着率90%以上の実績があります。
つまり転職のプロが認めた働きやすい会社の求人しか取り扱わないということです。
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「次こそは良い環境で仕事を充実させたい」
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目次
やりがい搾取とは?わかりやすく解説
やりがい搾取とは働きに対して本来は給与報酬の改善等で従業員に対して報いるべきところを
「お客様からの感謝の気持ちやありがとうの言葉」などの実態の見えないもので報いることを指します。
つまり、お金を払わずにいい仕事をしてもらおうという経営者側にとって非常に都合の良い状態となります。
確かにお客様に感謝されることはやりがいにつながるかも知れませんが、金銭的な報酬が評価に反映されることがなければ、会社だけが儲かって従業員の生活が向上しないということにつながりかねません。
資本家(経営者)の理想で「お金のかからない労働力」というものがありますが、まさにそれを実現しようとする非常に悪質な労働搾取です。
ところで「自分は大丈夫」と思っていませんか?
実は誰でも知らない間にやりがいの搾取に合う可能性があります。
次は、やりがい搾取が起る背景について解説します。
やりがい搾取は昇進・昇給ができない労働環境が起因
やりがい搾取は昇進や昇給ができない労働環境が原因と言われています。
かつて日本は世界の工場でした。
それが今では工場を中心とした大量生産が衰退し、全員が昇進昇給できない状況となり終身雇用も崩壊したためです。
日本を代表するトヨタ自動車も終身雇用の維持は厳しいと表明しています。
参考:「終身雇用難しい」発言の舞台裏 トヨタ社長が焦るワケ|日経ビジネス電子版
また、大企業を中心として企業が従業員を切り捨てて経営陣だけで生き残るような体制に切り替わっているということも原因です。
大企業の内部留保(使わずに死蔵しているお金)はなんと406兆円にものぼっています。
つまり、本来は従業員の賃金上昇のための原資や新しいビジネスを起こして雇用を生むなどの重要な役割を日本企業は放棄してお金を溜め込んでいるということです。
日本企業を支える製造業が衰退しただけではなく、意図的に企業内にお金を残して経営者などの役員がほぼ独占しているような状態となっています。
昇進・昇給が望めない中で若者は「自分らしく働く環境」としてやりがいを求めました。
その結果、給料よりもやりがい・働き方で選ぶ労働者が増えました。
一部の人気求人ではあまりにも薄給であったため「やりがい搾取」と呼ばれるようにもなりました。
「お金はあるけれど、頑張って働いた従業員に還元したくない」という身勝手な経営者によって生み出されたものがやりがい搾取であるといっても過言ではないでしょう。
「どんなものがやりがい搾取になるの」と気になりませんか。
次は、やりがい・働き方の基準について解説します。
「やりがい・働き方」を利用したやりがい搾取の原因となる4つのポイント
上述のとおり「やりがい」や「働き方」にこだわって働く方が増えました。
その結果、やりがい搾取が問題化しています。その原因として次の4つのポイントが上げられます。
- 趣味性:好きだから働く
- 奉仕性:自己犠牲で働く
- ゲーム性:競争やバッチ集めに夢中となった働く
- サークル・カルト性:企業理念に強く共感して働く
趣味性は好きだから働いているので、お金は関係ないとよく分からない理論が登場します。
奉仕性は労働者個人の自信のなさに付け込みます。
ゲーム性は競争や特定の金銭以外の賞賛性のあるものを労働者に与えます。
お客様からのありがとうの数だけ謎のスタンプを貰えるものや金銭報酬を伴わない社内表彰なども該当します。
企業理念に強い共感を集めてカルト性の高い集団を働かせるといったサークル・カルト性のある集団もやりがい搾取の温床となります。
興味がある人は「軋む社会—教育・仕事・若者の現在 (河出文庫)」を読んでみると良いでしょう。
参考:軋む社会—教育・仕事・若者の現在 (河出文庫) | 本田 由紀 |本 | 通販 | Amazon
「軋む社会」では若者の厳しい労働環境について詳細な説明がなされている著書です。
若者を取り巻く厳しい労働環境はいまや社会全体で考えるべき問題です。
では、どんな企業がモチベーション搾取が起きやすいのでしょうか? その特徴を解説していきます。
モチベーション搾取が起きやすい企業や職場の特徴
モチベーション搾取が起きやすい企業や職場の特徴として労働者本人の
「これが好きだ」と言った趣向や日本人らしい優しさである自信のなさに漬け込むという特徴があります。
具体的には、以下のようなものです。
- 特徴1:「好きだから働く」という職場は要注意!報われないことも覚悟しておこう
- 特徴2:自己評価が低い人は奉仕しがち。客観性と自信を持つことが重要
- 特徴3:キラキラ職場に要注意!経営理念を迫る企業やエンゲージメント経営する企業は紙一重
それぞれについて解説します。
「好きだから働く」という職場は要注意!報われないことも覚悟しておこう
「好きだから働く」ことは決して悪いことではありませんが、報われない可能性を知っておきましょう。
憧れの対象となる仕事ほど、日本では給料が安い傾向にあるためです。
アニメーター、ディズニーや芸能界など憧れとなる職場をはじめ、福祉・介護・保育士などの社会的意義がある職場は代表的な仕事です。
「好きな仕事=給料が高い」とは限りません。利益が出ず一生、薄給の可能性があることを覚悟する必要性があります。
「儲からないかもしれないし、人並みの生活は送れないかも知れない。でもそこで働きたい。」
という覚悟の元で仕事をするのは良いでしょう。ただ、一方的な憧れだけで上述した仕事を選ぶと後悔する可能性も高いためお気をつけください。
自己評価が低い人は奉仕しがち。客観性と自信を持つことが重要
自己評価が低い人ほど「もっと頑張らなくてはいけない」と無償の奉仕をしがちです。
その結果、自ら薄給で働く環境にしてしまうのです。
そのため客観性と自信を持つことが大切です。
自分の技術や技能、経験に自信を持てない限りは一生高い報酬の仕事は回ってこないためです。
客観性と自信を持つには時間がかかります。それまでは親や友人、転職エージェントから客観的なアドバイスをもらうようにしましょう。
例えばマイナビAGENTは過去の事例も豊富なため客観的なアドバイスがもらえます。無料で利用できるため定期的に相談して自分自身の市場価値を把握しておきましょう。
キラキラ職場に要注意!経営理念を迫る企業やエンゲージメント経営する企業は紙一重
キラキラ職場に注意しましょう。特に企業理念をあまりにも前面に出しすぎる企業やエンゲージメント向上ばかりを謳う企業です。
最近は経営層と従業員層の不一致を改善するためにアンケートを定期的にとり、会社に対する期待と満足度をコントロールし始めている企業があります。
参考:世界初「モチベーションエンジニアリング」による企業改革コンサルティング | Link and Motivation Inc. 株式会社リンクアンドモチベーション
もちろん、従業員の不満解消のためにアンケートを取ることは悪いことではありません。
しかし、「行き過ぎると息苦しい!」「みんな企業理念に傾倒しすぎて宗教のようだ。」と感じることが多々あることも事実です。
そういったやりすぎの職場は転職エージェントに聞いてみれば教えてもらえます。
ちなみに素晴らしい経営理念を掲げていても経営者は不倫をしたり従業員に手を出したりという企業もあります。
キラキラした職場環境は冷静にチェックをすべきでしょう。
ところで「やりがい搾取にすでにあってるんだけど、どうしたらいい?前からうちの職場は気持ち悪いと感じていた」という方はいませんか。
次は、やりがい搾取にあったら取るべき行動について解説します。
やりがい搾取にあったら取るべき行動
やりがい搾取にあったら取るべき行動としては現状打破のために
「お金を優先する」か「やりがいのある職場で妥協するか」について考え転職するかどうかを決めましょう。
具体的には、以下のように考えることがおすすめです。
- 「やりがい」を取るか「収入」をとるか判断しよう
- 長く働くイメージが持てない場合はすぐ転職がおすすめ
それぞれについて解説します。
「やりがい」を取るか「収入」をとるか判断しよう
「やりがい」を取るのか「収入」を取るのかの自己判断をしましょう。
ベンチャー企業であれば「やりがい」を選択しつつ成果を出して「収入」も大きく伸ばせることは可能でしょう。
しっかりと成果に向き合って成果とやりがいを目指すのも手です。
ですが成果を厳しく求められるベンチャーでは成果を出せる社員はわずかですのでご注意ください。
一方で収入を選ぶのも手です。
安定して高収入を得られる組織ということはある程度、誰がやっても給料が高い状態に保たれるような仕組みを構築しています。
仕組みで運用されていますので「やりがい」を感じることは少なくなるでしょうが、金銭的に余裕がでると違った充足感を感じられるでしょう。
長く働くイメージが持てない場合はすぐ転職がおすすめ
長く働くイメージが持てない場合は、すぐに転職することをおすすめします。
長期勤続できない職場で働いてもお金が貯まらないばかりか、生活が安定しないためです。
経営者であれば儲かるときもあるため不安定さに我慢することもできますが、一定額の給与しかもらえない環境で長期に働くことが出来なければ生活はなかなか良くなりません。
さらに、判断を先伸ばしにすると転職もできない年齢になってしまうかもしれません。
1日でも若いうちに判断し、転職すべきかどうか決断しましょう。
ちなみに迷ったら転職エージェントに相談するのも手です。
これまでの経歴やスキルからおすすめの業種や職種の企業を紹介してもらえるためです。
「転職を少し検討している」といった方でも無料で利用できるため情報収集から始めてみましょう。
ちなみに転職エージェントはマイナビAGENTやハタラクティブが評判が高くおすすめです。
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ところで「どうすれば長期的にしっかりとした職場で働けるようになるのだろうか」と気になりませんか。
次は、スキルを中心としたキャリア形成について解説します。
大企業やキラキラ職場よりも「スキル」を中心したキャリア形成が人気傾向
現在、長く活躍できるキャリア形成のためには大企業やキラキラ職場で働くよりも「スキル」を中心としたキャリア形成が人気傾向にあります。
特にIT系のスキルは需要が高く、学ぶハードルも高いため一回身に着けてしまえば勝ちという部分があります。
日本はIT後進国と言われており、新型感染症が爆発した際にもなかなかITを活用できませんでした。
そもそもIT技術者を国家が育成していないためです。
そのため最近では民間のプログラミングスクールが注目を浴びています。
とくにおすすめは「転職保証付き」のプログラミングスクールです。
プログラミングスクールを卒業しても転職できないという生徒が多くいますが、転職保証付きであれば転職できなかったときに受講料を全額返金してもらえ金銭的なリスクがありません。
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まとめ
やりがい搾取とは良い働きをした社員に対してお金で報わず、「感謝の気持ち」など意味不明な言葉でごまかすことを指します。
お給料が増えないのに自発的に仕事にのめりこむことで経営者が一方的に得をします。
やりがい搾取は昇進や昇給ができない労働環境が原因と言われています。
世界の工場から日本が衰退し工場を中心とした大量生産が衰退し、全員が昇進昇給できない状況となり終身雇用も崩壊したためです。
また、大企業を中心として企業が従業員を切り捨てて経営陣だけで生き残るような体制に切り替わっているということも原因です。
大企業の内部留保(使わずに死蔵しているお金)はなんと406兆円にものぼっています。
やりがい搾取には以下の4つがあります。
- 趣味性:好きだから働く
- 奉仕性:自己犠牲で働く
- ゲーム性:競争やバッチ集めに夢中となった働く
- サークル・カルト性:企業理念に強く共感して働く
モチベーション搾取には以下の例があります。
- 「好きだから働く」という職場は要注意!報われないことも覚悟しておこう
- 自己評価が低い人は奉仕しがち。客観性と自信を持つことが重要
- キラキラ職場に要注意!経営理念を迫る企業やエンゲージメント経営する企業は紙一重
やりがい搾取に気づいたら、「やりがい」を取るのか「収入」を取るのかの自己判断をしましょう。
大企業やキラキラしたイメージの職場よりもスキルを身につけて労働に対する正当な報酬を受け取るようにしましょう。